V5内村のリオ五輪連覇に死角はないか
中国で開催中の体操世界選手権で9日、内村航平(コナミ)が自身の持つ史上最多記録を塗り替える男子個人総合5連覇を達成した。 全選手の中でただ1人、6種目すべてで15点台をマークする圧倒的な強さを見せつけ、合計点は91・965点というハイスコアをマーク。90・473で銀メダルに輝いたマックス・ウィットロック(英国)に1・492差をつける危なげない演技で、銅メダルを手にしたコナミの同僚・田中佑典にも影を踏ませることのない圧勝劇だった。 世界デビューとなった2008年の北京五輪で個人総合銀メダルだった内村は、翌2009年の世界選手権で金メダルを獲得すると、以後は2012年ロンドン五輪を含めて世界大会6回連続で金メダルを手にしている。 もはや生ける伝説となっている史上最強チャンピオンは、2年後のリオデジャネイロ五輪で五輪連覇を達成することができるのだろうか。 最後の最後に中国に逆転されるという悪夢の団体銀メダルから2日。気持ちを切り替えて個人総合に登場した内村は、すごみすら感じさせる圧巻の演技を連発した。 見ている者を驚嘆させたのは、ピタ、ピタ、と吸い付くように止まる着地だ。とりわけゆかですべての着地を完璧に止めたことは、日本男子チームの水鳥寿思監督をして「ビックリした」と言わしめるほどだった。 「心と体がリンクしていた。今日はもしかしたら全種目、着地を止められるかもしれないという期待を持っていた」。内村はそこまで言った。 自他ともに認める、危なげのない結果。しかし、リオ五輪での連覇を見据えるとき、決して余裕を見せているわけにはいかないと危機感を見せたのが、コナミで内村を指導する森泉貴博コーチだ。 同コーチはまず、ロンドン五輪以降に代表メンバーの大幅刷新を図った中国に注目し、「今回の中国は、若手中心で来ていることで、(演技の難度を示す)Dスコアを上げて、攻めてきている」と解説。そのうえで、「これ以上はDスコアが上がらないだろうという選手、上がってもあと少しだろうという選手、またはまだ上がるように見える選手がいる」と分析した。 そういう意味で不気味なのは、22歳の●書弟(デン・シュウディ。●=登へんにおおざと)だ。個人総合では89・732で6位にとどまったが、彼は団体総合予選、団体決勝といずれも全6種目をフルで行っており、相当な疲労があったはずだ。それでいて大崩れすることなく演技をまとめたのはかなりの地力があるということだろう。