【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第2ステージ】叶えられなかった「夢」を射止めたポガチャル。全てのグランツールで区間優勝達成に「自転車界では大きな快挙。最高にハッピー」
すかさず後輪に飛び乗ったのは、ベン・オコーナー1人だけ。かろうじて200mほどは食らいついたが、すぐにポガチャルのテンポについていけなくなった。しばらくはトーマスと共に追走を試みるが、いつしか後方へと姿を消した。肝心のトーマスは、あえて脊髄反射を避けていた。背後にナルバエスを連れていたせいでもある。ただ前日の区間覇者がもはや限界に達したことを悟っても、あくまで淡々と一定ペースを貫いた。そもそも37歳「G」にとっては、これはいわば通常運転だった。
「あそこで反応していたら、完全にふっとばされてしまうことは分かっていたからね。僕だって限界ギリギリだった。ひたすら体力配分に努めた」(トーマス)
他の大部分のライバルたちも、状況は似たようなもの。ボーラ・ハンスグローエは最後まで2選手を残したが、フロリアン・リポヴィッツが振り返ったように、無茶な追走は企てなかった。誰もが自分たちの走りを心がけた。
それはポガチャルも同じこと。すぐに後続に30秒近い差をつけると、あとは山頂までのペース配分を心がけたという
「ラファがアタックを準備してくれた時点で、ほぼ限界に達していた。だから1人になった後、もちろんできる限りの力は尽くしたけど、むしろ走りを制御した。ライバルたちとの差は保たねばならなかったから、通常通りのペースを保ちつつ、注意して走り続けた」(ポガチャル)
後続に27秒差をつけ、ポガチャルが「パンターニの山」を制圧した。2019年初出場ブエルタと2020年初出場ツールではそれぞれ9日目に初勝利を手にしたが、2024年初出場のジロでは、2日目にあっさり勝ちを手に入れた。全3大ツールで区間を制した史上108人目の選手となり、自身にとって6度目のグランツール出場で、早くも区間勝利は通算15勝に達した。
過去5回のグランツールすべてで表彰台乗りを果たしてきたポガチャルは、山頂で、1秒たりとも無駄にタイムを失わなかった。フィニッシュラインを全力で駆け抜けてから、ようやくハンドルから両手を離し、ガッツポーズで雄叫びを放った。ボーナスタイムも10秒収集。念願のピンクジャージをしっかりとその手につかみとると同時に、山頂フィニッシュ時に限って山岳ポイント増額……のジロ固有ルールに則って、青い山岳ジャージも受け取った。
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