【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第2ステージ】叶えられなかった「夢」を射止めたポガチャル。全てのグランツールで区間優勝達成に「自転車界では大きな快挙。最高にハッピー」
……そんな最悪のタイミングで、ポガチャルがパンク!しかもバイク交換しようと停止する直前、空気の抜けた前輪をコーナーで滑らせ、地面に転がり落ちてしまった。さらには大急ぎで背後に上がってきたチームカーに、あわや轢かれてしまうところだった。
「大騒ぎするほどのことではない。僕はコーナーの前で止まろうと思っていたのに、チームカーから無線で『コーナーの後』と言われて、ちょっと混乱しただけ。落車もしたけど大したことはなかった」(ポガチャル)
新しいバイクで再スタートを切った時点で、スピードの上がりきったメイン集団から、ポガチャルは20秒ほど引き離されていた。幸いにもアシスト2人が集団後方に駆けつけた。今から25年前に、マルコ・パンターニがトラブルからのごぼう抜きで優勝をさらったオロパの山道へ向けて、エースを大急ぎで前線へと引き戻した。
「たしかにアドレナリンが少し出たよ。でも自分の調子に自信を持っていたし、チームメイトと共に集団へ帰れると確信していた。その通り、チームはファンタスティックな仕事をしてくれた。しかも集団復帰後は、みんなが完璧なペースを作ってくれたんだ」(ポガチャル)
残り10kmで集団へのしっぽを捕らえ、そのまま4人のチームメートと共に集団最前列へとせり上がると、ためらわずポガチャルは高速モードに切り替えた。まずはフェリックス・グロスシャートナーが、続いてミッケル・ビョーグが全開で飛ばした。わずか3.5km先でピッコロとの1分半差を0に減らし、前にはもはや誰もいなくなった。集団は細く長くなり、後方からもどんどん弱者を蹴落としていった。
残り5.5kmからはラファウ・マイカが先導する番だった。ところでポガチャルは「チームの誰もこの上りを知らなかったんじゃないかな?」なんて笑っていたが、34歳マイカは10年前のジロで、エースとしてオロパ登坂を経験済み。ベテランはラスト4.5kmからの難勾配ゾーンで恐ろしいほどにスピードを上げると、S字カーブの先で、ポガチャルを先頭へと解き放った!
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