平家の「赤」うどん、観光客向けメニューに…落人伝説にちなみ「新たな名物に」と開発
落人伝説から「平家谷」とも呼ばれる広島県福山市沼隈町の横倉地区で、住民グループが町内の食品会社と協力し、平家の旗色・赤にちなむ「平家谷あかいうどん」を開発した。今月から観光客向けメニューとして提供。メンバーらは「地域の新たな名物になるよう、一生懸命おもてなしをしたい」と張り切っている。
住民グループは「平家谷おばちゃんガイド」=代表・上田政美さん(71)=。観光案内をしながら、平家ゆかりの史跡や言い伝えを後世につなごうと、2017年に地区の女性有志で結成された。現在は63~75歳の10人が観光案内のほか、ゆず茶などの加工品製造にも取り組む。
「あかいうどん」開発のきっかけは、地区で30年以上にわたって営業していた「平家谷花しょうぶ園」が今年6月に閉園したこと。メンバー間で新たな観光客を呼び込むアイデアを話し合う中、しょうぶ園売店で販売していたうどんをツアー客の食事として出す案が浮上した。
9月以降、町内で特産のブドウなどを使った食品を製造する「ぬまくま夢工房」の中島基晴社長の協力を得て赤い麺の開発を進めた。
麺は「企業秘密」(中島社長)の天然素材で着色し、福山市内の製麺所に製造を委託。試食を重ねて発色だけでなく、のど越しの良い半生タイプに仕上げた。だしも、飲食組合の料理人に助言をもらい、改良を加えたという。
本格提供を前にした今月14日、食事を出す場所にもなる休憩施設「 小宰相(こさいしょう)庵」で、市内外の旅行会社やホテルの関係者らを招いて発表会を開催。地域での家庭の味「おこわご飯」やゆず茶などを含む計6品を出した。参加者は「うどんの色が鮮やかで特別感がある」「やさしい味付けで、1品ずつの相性が良い」などと感想を伝えた。
上田さんは「地域の多くの方々の力を借り、平家谷らしいうどんを完成させることができた。豊かな自然に囲まれながら食事を味わってもらい、のんびりとした時間を過ごして」と話す。
食事は1日30食限定の事前予約制で、価格は1500円(税込み)。営業時間は午前11時~午後2時。12月の営業は1、4、8、11、14、18、21日を予定。予約は上田さん(080・1647・9332)へ。