「前2輪」というユニークな形状で安定性を実現したRaptorの“移動手段”としての可能性
■実は、レーシングマシンのパーツを作るのが本業 前2輪の3輪なので、とても安定性が高い。バッテリーは胴体下部に載っていて交換可能。車体はリーン可能で、前輪はステリング操作で、2輪とも操作可能。 本体は上下に分割可能で、ステアリング操作と、ブレーキの操作は物理的なリンクを介して下のシャシー側に伝わるようになっている。スロットル操作などは電気的に伝わる。それらの接続をすべて一括で行うことができるようになっているのがユニークなところ。
シートを低く、ステアリングを高くすることで、スクーターのように誰でも操作できるようにすることもできるし、シート高を上げて体重移動中心で操作するようにもできる。極めて理にかなった構造になっている。 さらに、工場横に作られたこのテストコースで頻繁にテスト走行を行って操作性のチューニングをすることもできる。 実は、RDSの祖業はレーシングパーツの製作。 守秘義務があって多くは語れないようだが、F1チームのトロロッソからクリスマスプレゼントとしてもらったフロントウィング(これ自体がRDSの製品というわけではなく、スポンサーロゴが入っている部分をプレゼントされたもよう)や、現在日本人唯一のF1ドライバーである角田裕毅選手の個人スポンサー……というあたりから察するしかなさそう。
現社長である杉原さんは、父が創業したレーシングマシンのパーツを製作する会社を継ぐために15歳で単身渡英。イギリスの全寮制高校を経て大学でプロダクトデザインを専攻した。 現在RDSは、レーシングマシンや、自動車メーカーのプロトタイプ製作を通して、デザイン、設計、新素材の開発、クレイモデル、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)成形、3Dプリンターなどによるモデルの製作、3Dモデリングデータ製作、構造解析などを行う企業に成長している。わかりやすくいえば、単価が非常に高くなったとしても必要な、高強度、高精度な単品モデルの製作に特化した企業だ。