トランプ氏弾劾へ調査開始 「ウクライナ疑惑」主要関係者を整理する
■ジョー・バイデン前副大統領: オバマ政権で副大統領を2期にわたって務め、国民からの人気も高い人物。来年の大統領選では、民主党の最有力候補であるとの見方も強い。ウクライナのエネルギー会社「プリスマ」に対する汚職捜査が地元の検察によって行われる中、バイデン氏は2016年にウクライナ検事総長であったヴィクトル・ショーキン氏の解任をウクライナ政府に“提案”。ウクライナの検察改革が実行されない場合には、10億ドルの追加融資計画を凍結することを示唆した。プリスマ社は2014年からバイデン氏の次男ハンター氏に役員報酬として年間約6000万円を支払っており、当初から「利益相反」となる可能性が高いとの指摘があったが、バイデン氏の“提案”によって次男は結果的にウクライナ当局の取り調べの対象にならなかった。
■ハンター・バイデン氏: バイデン前副大統領の次男。ロースクールを卒業し、商務省に勤務したのち、2001年にロビイストとして活動を開始。ワシントン政界で影響力を持つ父親の存在もあってか、2006年には36歳という若さでアムトラック(全米鉄道旅客公社)の役員に当時のブッシュ大統領から指名され、2009年まで同社の役員を務めた。2013年には北京で他のアメリカ人投資家と中国人投資家と共同で「BHRパートナーズ」を設立。この会社は中国資本を国外の企業に投資することが主たる業務だ。2014年にはウクライナのブリスマ社に役員として迎えられるが、ウクライナ検察は同社が汚職の温床となっていると判断。捜査の過程でハンター氏も事情聴取を受ける予定だったが、当時のオバマ政権がウクライナに10億ドルの追加融資を行った直後に、捜査の最高責任者であったウクライナ検事総長は解任されている。今年4月にブリスマ社の役員から退任した。
【ウクライナ政府関係者】
■ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領: 今年7月25日にトランプ大統領と電話会談を行ったウクライナ大統領。政治経験なしで大統領に当選したことが世界的に大きく報道されたが、大統領選直前までウクライナの人気テレビドラマで大統領役を演じた人気芸人だった。ロシアの軍事行動をけん制する狙いでアメリカからの軍事支援を熱望していたことは広く知られているが、バイデン氏に関する情報収集に自身やウクライナ政府は関与していないと主張している。