「煽り」とか「大袈裟」とか言われたりもするけれどーー「コロナの女王」岡田晴恵の本音
一般の人々が新型ウイルスの存在を知る前から、先んじて医療逼迫とライフライン崩壊までを想定し、「危機管理」を叫び続けてきた白鴎大学教授、岡田晴恵。2019年から連日、新型コロナウイルスの情報収集・分析をし、メディアで発信。寝食を投げ打ちコロナ対策への提言を続けた。「売名行為だ」「逆に恐怖感を煽っている」という揶揄から、「痩せてきれいになった」という評判まで、ネットには岡田の露出の多さに比例してさまざまな言葉が飛び交った。「私のことなんて、どうでもいい。“最悪の状況”を避けるために、情報提供を続けるだけだ」。今度はオミクロン株が日本を席巻する今、何を思うのか。図らずも「コロナの女王」と呼ばれた研究者の素顔に迫った。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル特集編集部)
痩せたのは自然に、みんな大変だから
ダイヤモンド・プリンセス号が横浜に停泊した2020年のはじめから1年以上、テレビで岡田晴恵の顔を見ない日はなかった。新型コロナウイルスに関するニュースのコメンテーターとしてその名は日本中に知れ渡り、付いた異名は「コロナの女王」。 岡田は「コロナに詳しいお医者さん」ではない。大学で教鞭を執る学者であり、専門は感染免疫学、公衆衛生学。国立感染研究所でパンデミック対策を長年研究してきたスペシャリストだ。SARSやMARSが海外で流行した際も、日本流入時のシミュレーションを繰り返していた。 あの春からテレビに出ずっぱりで、見る見る間に痩せていった。岡田をネット検索すれば、「岡田晴恵 痩せた」という文字が上位に出てくるほど。取材日、新著『秘闘 私の「コロナ戦争」全記録』を校了したばかりの岡田は、さらにほっそりして見えた。 約2年にわたるコロナ禍の闘いを記録した手記。新たな変異株蔓延の危機感から、春の予定だったものを昨年末の発売へと繰り上げるため、連日徹夜して書き上げたのだという。 「ダイエットなんか全然。とにかく大変な日々でした。終わっていませんけど。WHOのデータを読んだり、ヨーロッパのデータを見たり、新型コロナウイルス情勢は激変していきますから、もう、毎日が勉強。自分の時間なんて、ほとんどないんです」 この日も朝食はソイラテのみ。英語とドイツ語で送られてくる海外のデータに目を通しながら、チーズを少しかじったっけ……と首を捻り、そういえば買ったんだった、と、バッグから冷えたコンビニおにぎりとチキンを取り出した。 「食べるの忘れてた(笑)。いつもこんな感じ。普段から、生活は仕事に埋め尽くされています。コロナに直面してからは、さらに。確かに、この2年で17キロ痩せましたけど、実際に罹患して痩せた人、事業が大変で痩せた人、いっぱいいるんですよ。私もその一人に過ぎません。コロナは大変だから、みんなが痩せるんだっていう話です」