どっち?「使い捨てカイロ」は燃えるゴミ?燃えないゴミ? 成分の半分以上は鉄粉だが…記者が調べてみた
カイロを燃やす理由
松本市の環境業務課は「燃やした方がゴミの量が減る」と説明した。カイロを不燃ゴミとして回収した場合、その他の不燃ゴミと一緒に埋め立てることになる。しかし、カイロには不織布の袋や活性炭など燃える物も含まれている。そのため、「燃やせる物は燃やしたい」と同課。ごみ焼却施設でカイロを燃やし、灰にできる物は灰にして埋め立てた方が「ゴミ全体の量が減る」という考えだ。 カイロを燃やすか燃やさないかに関係なく、結局は埋め立てる自治体が多いようだ。しかし、長野市は事情が違った。同市生活環境課は「燃やすゴミとして処分した方が鉄粉を回収できる」と話す。カイロなどのゴミを焼却施設で燃やしてできた灰を、さらに千数百度以上の高温の炉(灰溶融炉)で溶かすと、ガラス状の溶融スラグと金属に分離できる。溶融スラグは建設用資材などに使われ、金属はリサイクルされる。 長野市のごみを処理している長野広域連合によると、運営する2つの焼却施設にはともに灰溶融炉がある。2つの焼却施設から出た灰の半分近くは、それぞれの灰溶融炉で資源化を図り、残る灰も民間業者が灰溶融炉などで資源化に取り組んでいる。同連合環境推進課は「カイロの鉄粉もちゃんとリサイクルできている」と話した。
考え方やゴミ処理能力の違い
長野広域連合によると、灰溶融炉を持つ焼却施設は長野県内には少ない。新しい炉の建設や灰の資源化には、多くの費用とエネルギーが必要になる。ゴミに出たカイロの鉄粉をリサイクルしているかどうかは、自治体の考え方や予算、ゴミ処理施設の能力によって差が出ざるを得ないのが現状だ。