「不当廉売」の結果は?アメリカ・ボストンで〝訳あり商品〟の地下鉄に乗車 脱線やバッテリー爆発も、中国メーカー製の乗り心地は…「鉄道なにコレ!?」【第63回】
混雑時の乗降を円滑にするために両開き扉の幅を広くしているのは共通なのだが、1400系で気になったのは停車駅ごとに扉の両脇にある赤いランプと連動して「ピーポー、ピーピーピー…」と鳴り響く電子音だ。扉が閉まる際には「ピピピピ」と音の感覚が狭まり、余りの高頻度なので耳障りなのは否めない。 MBTA職員は「電子音の導入は視覚障害者を誘導するために基準が定められているが、同じく基準を満たしたR211はあんなにけたたましい音は鳴らない」と指摘する。しかもR211は扉が開いた際に脇にある縦長のライトが緑色に光って乗降できることを知らせる一方、扉が閉まる時はライトが赤色に変わって駆け込み乗車をしないようにいさめるが、そのようなエッジが効いた装備はMBTAの1400系にはない。 車内の扉の上を眺めても、R211がカラー液晶画面で行き先や停車駅を分かりやすく案内してくれるのに対し、1400系は昔ながらの路線図のステッカーが貼り付けられているだけだ。
▽もたれかかれない、寝過ごし防止用いす!? 外側の側面や車内の天井にある行き先表示もニューヨーク地下鉄のR211がカラーで鮮明に案内するのに対し、MBTAの1400系はオレンジ一色で表示した単調なもの。色は路線名のオレンジラインと合わせているものの、前時代的な印象をぬぐえない。 これも路線名と引っかけたオレンジ色のロングシートに腰かけると、驚かされたのは背もたれが低いことだ。繊維強化プラスチック(FRP)製の堅い座り心地で、もたれかかることすらままならない。まるで公園に急いでこしらえた安上がりなベンチのようで、「乗客が目的駅の先まで寝過ごしてしまうのを防ぐ配慮だろうか」と勘ぐってしまった。おそらくはコストを抑えたので安普請なだけであろうが…。 R211の座席もFRP製のロングシートではあるものの、背もたれはしっかりしているため野球場のいすに匹敵するような一定の品質を確保している。