シンガポールのVCが語る「インドと東南アジア」に投資する理由
東南アジアのスタートアップの資金調達環境が、冬の時代を脱しつつある中、「シードステージへの投資に新たな機会が生まれつつある」と述べるのは、シンガポールを拠点とするベンチャーキャピタル(VC)のJungle Ventures(ジャングル・ベンチャーズ)共同創業者でマネージングディレクターのアミット・アナンドだ。 アナンドは、同社の最新レポートを引用しつつ、「タイやフィリピンではシード調達が急増しており、当社はこれらの地域での投資を強化していく」と、11月にバンコクで開催されたフォーブスの『グローバルCEOカンファレンス』で語った。 ジャングル・ベンチャーズによると、東南アジアとインドを合わせた地域に対するVC投資の中で、タイのスタートアップへの投資が占める割合は2021年に3%だったが、今年は4%に増加し、フィリピンも同期間に5%から6%に伸びたという。 しかし、この地域においては依然としてこの2国が遅れをとっており、シンガポールが全ての投資の半数以上を占め、次いでインドネシアが15%、ベトナムとマレーシアがそれぞれ10%とされている。 東南アジアとインドのアーリーステージの投資に特化したジャングル・ベンチャーズが運用する資金は10億ドル(約1500億円)を超える。同社の約50社のポートフォリオには、4つのユニコーンが含まれている。シンガポールに本拠を置く住宅リフォームのスタートアップ、Livspace(ライブスペース)と、インドネシアの後払いに特化したフィンテック企業のKredivo(クレディボ)、インドを拠点とする産業用ツールのEコマースサイトを展開するMoglix(モグリックス)、カタール投資庁が主導した調達ラウンドで評価額が10億ドル(約1500億円)を突破した英国のソフトウェア開発プラットフォーム、Builder.ai(ビルダー・エーアイ)だ。 アナンドによれば、フィリピンとタイのスタートアップが投資家を引きつける理由は、両国でデジタルインフラが急速に整備され、都市から離れた地域であってもインターネットベースのアプリを展開できる環境が整ったことにあるという。 ジャングル・ベンチャーズは現在、マニラの起業家や投資家との面談を重ねており、同社にとって初のフィリピン企業への投資に向けた交渉の最終段階にあるという。同社は、タイではファッション小売業者のPomeloに出資している。