大人の勉強は「朝型」一択! 小刻み学習がよい理由とは?【50代からの脳トレ③】
昼間は仕事をしている人も多い50代、勉強をしようと思ったらどうしても仕事のあと、一日の終わりに…となりがち。「それこそが、大人の勉強が続きにくい原因です」と脳内科医の加藤俊徳さん。モチベーションを維持しながら、学んだ内容を定着させるための、大人の脳の仕組みに合った勉強法を教えてもらった。
疲れた脳では「わかった!」が起きにくい
定期テストの前や受験のときは夜遅くまで勉強していた…。そんな学生時代の経験があったり、仕事や家事が終わった夜しか時間が取れないという現実もあり、勉強時間を夜に回しているという人も多いのでは? でも結論から言って「夜の勉強はおすすめしません」と加藤先生。 「まず、“一日働いて疲れている脳は活性が下がった状態”。つまりファイアリング(=発火。脳科学用語で神経細胞の情報伝達が活発になること)を起こしにくくなっています(※詳しくは第2回<勉強を三日坊主で終わらせないためにはどうすればいい? 大人の脳の使い方>参照)。 疲れていて何かを見たり読んだりしてもきちんと頭に入ってこない、という経験は誰にでもあるでしょう。このような状態で学習をしても、定着しづらいのは当然です。 また、夜に無理やり勉強時間を取ろうとして睡眠時間を削ってしまうと、日中もぼーっとしがちに。大人の勉強には“好奇心”や“楽しいと思う感覚”がとても重要ですが、寝不足で疲れた脳ではそうした反応も起きにくい。 『夜になるほど頭がさえる』と言う人がいますが、多くの場合それは錯覚。寝不足によって日中の脳の活性度が低いために、少し動き出すと『頭がさえ出した』と勘違いしているだけなのです。 現代人は一日中忙しく、脳を『閉じる』ということが苦手です。でも体と同じで、脳もしっかり休ませる必要があります。夜は今日やったことを整理する時間にあてて、無理に勉強するくらいならその時間を睡眠にあてるのが正解。 “大人が勉強をするなら、朝”です。十分な睡眠をとったあとの朝の脳は元気で、ファイアリングを起こしやすい状態。つまりはパフォーマンスの高い脳になっています。夜だらだらとやるよりも、勉強のスピードも定着率も格段にいいのです」(加藤先生)