「発達障害グレーゾーンは一生続くわけではない」子どもの“グレーの濃度”を薄くするために親ができること
本人の困り度が重要
「発達障害」かグレーゾーンか、診断がつくかつかないかより、本人が生活の場で、どのくらい困っているかが重要です。グレーゾーンの子どもは、なにかに困っていることがよくあります。 「発達障害」のような症状 乳幼児期から気になる症状があった。 ▼ 適応できない 集団に適応できず、とくに小学校に上がってから、授業についていけなかったり、孤立したりする。 ▼ 本人も困っている 理由はわからないのに支障が頻発し、本人も困っている。 ▼ 問題行動になることも ケンカなどのトラブルを起こすこともある。大人はトラブルにばかり注目しがち。
グレーゾーンは一生続くわけではない
睡眠不足はなく、生活リズムが整っているのに、「発達障害」の症状がみられる子どもがいます。気になる症状は生後まもなくからあったので、親は「発達障害」ではないかと医療機関を受診しますが、診断基準を満たさないので、「発達障害」とは診断されないことがあります。こういった子どもは、「発達障害」のグレーゾーンといわれます。 親は悲観しないでください。グレーゾーンといわれても、一生続くわけではないからです。適切な支援によって、生活への支障はゼロに近づけることができます。 「発達障害」は、周囲に適応できて、本人が困らないのなら、診断は必要なくなります。グレーゾーンなら、本書で述べるような生活改善をすれば、ほとんど支障がなくなることが期待できます。たとえ「発達障害」の診断を受けても、生活改善をすれば、困りごとは減るでしょう。
【環境づくり】ポジティブな環境をつくりだす
子どもの性格形成には、家庭の環境が大きく影響します。子どもが精神的に安定するかどうかも、環境しだいです。ポジティブな環境をつくりだすのは親の役割。いつも笑顔で過ごしましょう。
性格は環境で変わる
人の遺伝子には「型」があり、脳神経系の遺伝子にも「型」があります。その型によって、脆弱性があるかないかなど、性格の傾向が違ってきます。性格の脆弱性がある子どもほど、環境の影響を受けやすいことがわかりました。 <子どもの性格傾向と環境の関係> 思春期以降の性格傾向と環境との関連をみた研究* * Masarik AS, Kochanska G, Brody GH らの研究『子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング』(子育て科学アクシス編/合同出版) より 【遺伝的な脆弱性とは】 精神疾患やネガティブな性格になりやすい。そうした遺伝子の型を複数もっているほど脆弱性が高い。 例えば… セロトニントランスポーターが少ない人→神経質 セロトニントランスポーターが多い人→おおらか セロトニントランスポーターとは 脳内物質のひとつセロトニンの伝達にかかわる。セロトニントランスポーターが多めにできる型の人は不安を感じにくくなるが、少ない型の人は不安を感じやすくなる。