ムルシエラゴ、ジャルパ、400GT、カウンタックを乗り比べ|クラシック・ランボルギーニ4台を一気乗り!
4台のクラシック・ランボルギーニ、まずはムルシエラゴ LP650-4 ロードスターに試乗する
●軽快なムルシエラゴ LP650-4 ロードスター ポロストリコに関する理解が深まったところで、我々にクラシック・ランボルギーニを試乗する機会が与えられた。この日、用意されたのは、1967年400GT 2+2、1972年製ハラマGTS、1988年ジャルパ、1990年クンタッチ(編集部註:本国での発音に合わせて本稿ではこの表記を使用)25周年モデル、2001 年ディアブロSE6.0、2003年ガヤルドLP510-4、2005年ムルシエラゴLP650-4ロードスターの7台。このうち、私は400GT 2+2、ジャルパ、クンタッチ、ムルシエラゴの4台に試乗できたので、その印象を順に紹介していこう。 最初に試乗するのが、7台のなかでもっとも新しいムルシエラゴと聞いたときには「現代に近い車のほうが肩慣らしにはちょうどいい」なんて気楽なことを考えていたが、実はこのモデル、全世界で50台のみが生産された貴重なもの。なるほど、ふたつのシートの間に貼られたプレートには「LP650-404/50」の文字がしっかり刻み込まれている。これを見て再び緊張感に苛まれたが、歴史的なモデルに触れる貴重なチャンスをフイにする気には到底なれない。勇気をふるってシザースドアを開け、運転席に腰掛けるとイグニッションキーをひねり、エンジンを始動させた。 その反応に、私は思わず目を丸くした。 排気音を絞ったエンジン・サウンドは「シュワーン」「クォーン」という精度感の高い金属性の音色で、きわめて現代的。それ以上に驚かされたのが、V12エンジンのレスポンスがとびきりシャープなことで、排気量が6.5リッターもあることが信じられないほど軽々と吹け上がる。その軽快さは、まるでフライホイールを持たないレーシングエンジンのようだった。 これだけエンジンの反応がデリケートだと、発進の際のクラッチ操作にもかなり神経を使いそうな気がするけれど、幸か不幸か、LP650-4のギアボックスはe-ギアと呼ばれたシングル・クラッチ式のロボタイズドMT。したがって、右側のパドルを引いてアクセルペダルを踏み込むだけで発進できる。このことは、私の精神的負担を少しだけ軽くしてくれた。 おまけに、シングル・クラッチ式といっても発進のマナーは上々で、そっとアクセルペダルを踏み込めばスムーズに走り出してくれる。その後のシフトアップでは、アクセルペダルを踏む右足の力をほんの少し抜いてあげればシフトショックもほとんど感じられない。いっぽう、ステアリングホイールの取り付け角が少し寝ているのは気になったものの、パワステがついているので操舵力も不当に重いとはいえない。この辺の事情が呑み込めただけですっと肩の力が抜け、ドライビングに集中する気持ちの準備が整った。 率直にいって、乗り心地は硬め。ただし、ロードスターのボディ剛性はそれほど悪くはなく、舗装が施された一般道を流す範囲でいえば快適性はまずまず。春の北イタリアは空気も爽やかで、頭上から流れ込んでくる風も心地いい。しかも、センターコンソールには大型のディスプレイも装備されているほか、プッシュボタンを中心とする操作系もなかなか現代的で、なんとなく最新のスーパースポーツカーとあまりかわらない感覚でドライブできるような気がした。 そんなムルシエラゴ・ロードスターの弱点を敢えて挙げるなら、大きな段差を乗り上げたときに明瞭なスカットルシェイクを感じたことくらいだろう。しかし、そのことよりも、サンタアガタ・ボロネーゼ製V12エンジンがあれほど軽快に、そしてスムーズに回ってくれることが印象的な1台だった。