長期金利は夏場に1%超えの声、日銀の利上げと国債購入減額観測
(ブルームバーグ): 植田和男総裁が岸田文雄首相と異例の短い間隔で会談を行ったことで、日本銀行は早期に利上げと国債買い入れ減額に踏み切るのではないかとの見方が市場参加者の間で強まっている。長期金利は次回6月の金融政策決定会合に向けて上昇圧力がかかり、夏場にも2013年5月以来の1%超えを試す公算が大きくなった。
植田日銀総裁が首相と為替を議論、基調物価への影響を注視-連携確認
植田総裁は7日、岸田首相と会談し、円安は「経済物価に潜在的に大きな影響を与え得るものであり、最近の円安について日銀の政策運営上、十分注視していくことを確認した」と述べた。総裁は4月26日の会見で、円安は現時点で政策運営に大きな影響を与えてはいないとの見解を示しており、軌道修正を図った格好だ。
日銀総裁、円安が基調物価に影響なら判断材料に-金融政策は維持
地方銀行の共同出資運用会社であるオールニッポン・アセットマネジメント(ANAM)の永野竜樹社長は、日銀は6月に国債買い入れを減額、7月に利上げすると予想。米金利の動向にもよるが、国内長期金利は「夏場以降に1%を超える可能性がある」との見方を示した。
長期金利の1%は、黒田東彦前日銀総裁により異次元緩和が始まった13年以来11年ぶりという節目の水準。日銀が3月にマイナス金利政策を解除するまでイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の下で実質的な上限とした水準でもある。国内金利の上昇は外債中心の資金運用を行ってきた国内投資家の円債回帰につながり、グローバルな資金の流れに影響を与えるとみられる。
植田総裁は8日の講演で「現在は3月に見直した国債買い入れの枠組みの下での金融市場の状況を確認しているところだが、今後、大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で国債の買い入れ額を減額していくことが適当である」と述べた。
物価見通しの上振れリスク大きくなれば「金利早めに調整」-日銀総裁