大学院卒で派遣社員だった女性が直面した男女の賃金格差。結婚した夫からの「奴隷扱い」の悲劇
3歳年上の夫と結婚して15年
今回の依頼者・咲絵さんは、バイオベンチャー企業勤務する43歳の会社員です。夫とは結婚15年で、夫の転勤に伴い5年前に九州から上京。朝9時に「こっちに友達がいなくて、ひとまず相談したいのです」と連絡をいただき、会社帰りにカウンセリングルームに来ることに。咲絵さんはグラマラスな体型の魅力的な女性です。ただ、かなり疲れた様相で、白髪混じりの髪を引っ詰めてまとめており、身なりに構わなくなっている様子が見て取れました。表情も暗く、「心療内科に通っているんですが、全然良くならないんです」と。 まずは夫婦のなれそめについて伺います。 「主人とは16年前に鎌倉の低山登山で出会いました。私は寺を見に行ったのですが、看板に“ハイキング”とあったので、靴底がつるつるの普通のスニーカーのままコースに入ってしまったのです。でもそこは、ガチの山。下山のときに転んで、腕を擦りむいてしまった時に助けてくれたのが夫でした」 低山登山とは、標高1000メートルほどの山で、「日本に人気百低山」のリストもあります。しかしハイキングといっても山は山。スニーカーだとしても靴底がしっかりしたものでないと危険なこともあります。夫も同じようにスニーカーだったとか。夫は擦りむいたところをペットボトルの水で洗ってくれたそうです。 「コースを出ても駅まで歩かねばなりません。30分ほど歩くうちに、お互いに理系だったり、好奇心の方向性が似ているところで意気投合。夕食を一緒に食べることになったんです」
同じ派遣社員でも男性は手取りで5万円高かった
食べ物の好みも似ており、終電まで飲んでしまう。東京駅で別れる時に、夫は咲絵さんの手を握り「また会おうね」と言ってくれたそうです。 「当時、私は派遣社員をしており給料は手取りで15万円。激安ですよね。シェアハウス以外に住めませんでしたもん。あるとき、同じ派遣で、同じ仕事をしていても男性の給料が20万円だと知ってしまった。その時に、“結婚しなければ野垂れ死する”とそれまでになかった結婚願望が燃えていました。そんな時に夫と出会ってしまった。彼は安定した世界的機器のメーカーに勤務しており、顔も好み。この人だと思って、私から“付き合ってください”と言いました」 当時の夫は31歳、容姿が整っていて、優しく大企業の正社員なのでモテるはずだが、交際していた女性はいなかったとのこと。写真を見せていただくと、清潔感がありカッコいい。 「夫も“結婚したい”と言ってくれました。そして、お互いの家に挨拶に行き、無事に入籍。私の両親は大喜びでした。九州に住む夫の両親も“娘ができたみたい”と優しくしてくれたんです」