「地獄の門」など”永遠の炎”が燃え続ける条件とは、神話や古代史に登場するものも
オリンピックの聖火が最初に灯された?
神秘的な炎は、多くの神話や古代史に登場している。 アゼルバイジャンの首都バクー近郊の丘陵地帯で燃え続ける炎「ヤナルダグ(燃える山)」は、かつてこの地域で信仰されていた火を尊ぶゾロアスター教で神聖視されていた。 リュキア(トルコ南部の古代の呼び名)のキマイラ山は、消えない火が燃えていることから、ギリシャ神話に登場する火を噴く怪物にちなんで名付けられたという。現在はヤナルタシュと呼ばれているこの山の近くには、ギリシャ神話の火と鍛冶の神ヘファイストスの神殿があり、オリンピックの聖火が最初に灯された場所の可能性もある。 キマイラの永遠の炎は大プリニウスが紀元前77年頃に完成した『博物誌』でも言及されているので、少なくとも2000年は燃え続けていることになる。 イラクのババ・グルグルでは、巨大なクレーターの中心で炎が燃え続けている。旧約聖書でネブカドネザル王が3人のユダヤ人を投げ込んだ「燃える炉」はここではないかと考える人もいる。 もしこれが旧約聖書の時代から存在していたとしたら、理屈の上では4000年間も燃え続けていることになる。
永遠の炎は消せるのか
数千年も燃え続ける永遠の炎があるとはいえ、消せるものもある。 雨によって消える炎もある。ただし、天然ガスの滲出の強度や地面の状態によっては、「再び自然発火する可能性もあります」とエティオペ氏。 チェスナットリッジ公園の滝の永遠の炎は、ほら穴に水しぶきが入って消えてしまうことがある。シメルマン氏は、「私も、地球化学分析のためにガスを採取するときに、何度か水をかけて消しました」と言う。「ガスを採取した後、滝からの水しぶきで消えないように再び炎を燃えあがらせるのに、毎回苦労しました」 いつかは自然に発火するものの、もちろん氏は、いつも再び炎を燃えあがらせてから立ち去ったという。 滝は自然な侵食によって後退するため、チェスナットリッジ公園の永遠の炎は最終的には消えてしまう運命にある。ほら穴が炎を水から保護してくれなくなれば、「天然ガスが漏れ出し続けても、炎は頻繁に消えるようになるでしょう」とシメルマン氏は言う。