男性に多い尿道狭窄症 おしっこの勢いがなくなり残尿感 男性不妊症になることも…手術は全身麻酔
膀胱(ぼうこう)にたまった尿を外に出すための通り道・尿道が狭くなったり、塞がったりする病気が「尿道狭窄(きょうさく)症」です。重症化すると膀胱や腎臓に機能障害が起きる可能性があります。別の病気の治療で、尿道に内視鏡を入れることが発症の原因になることもあり、注意が必要です。(藤沢一紀) 【図解】尿道狭窄症の手術の進め方
外傷や医療行為原因
尿道狭窄症は、女性よりも尿道が長い男性で起こりやすい病気です。男性の尿道は体の奥から「膜様部」「球部」「陰茎部」の三つに分けられ、外傷など後天的な原因で発症するのが大半です。国内での患者数の正確な統計はありませんが、米国の2000年代のデータでは、男性10万人あたり193人が当てはまります。 代表的な外傷は、はしごや材木の上に落下して股間を強打し、球部の尿道がつぶれる「騎乗型外傷」です。また、交通事故で骨盤の骨が折れると、膜様部の尿道が断裂します。 日本などの先進国では近年、外傷以外の医療行為の後遺症で発症する「医原性」の狭窄が増えています。尿道に内視鏡や細い管「カテーテル」を入れ、内側から傷つけたり、圧迫したりすると、組織が硬くなる線維化や傷痕が残る瘢痕(はんこん)化を招いてしまい、尿道が狭くなってしまいます。
発症初期では、尿が細くなり、勢いがなくなります。作られる尿の量自体は変わらないまま、流れが悪くなり、残尿感を招きます。重症化すると、腎臓や膀胱の機能障害のリスクも高まります。自力で排尿できなくなれば、尿道や膀胱にカテーテルを入れた状態での生活を余儀なくされます。 尿道は精液の通り道でもあるため、狭窄が起こると射精による精液が減り、男性不妊症にもつながります。 兵庫医科大の泌尿器科臨床教授、兼松明弘さんは「すぐに命に関わる病気ではないですが、決して侮ってはいけない」と指摘します。健康診断で判明することはほぼなく、尿の勢いや量が気になれば、泌尿器科に相談することが大切です。