今大会の活躍次第でビッグクラブに...

巧みなボール捌きで中盤に落ち着きをもたらした藤田。写真：金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部／JMPA代表撮影)

　おそらくやっている本人たちでさえ、こんな結果になるとは想像もしてなかったはずだ。現地時間７月24日に行なわれたパリ五輪のグループステージ初戦で、日本がパラグアイを５-０で破るとは…。パラグアイに退場者がひとり出たとはいえ、衝撃のスコアと言えるだろう。 【厳選ショット】56年ぶりのメダル目指すパリ五輪は白星スタート！大量５得点で南米王者を圧倒！｜パリ五輪GS第１節 日本５－０パラグアイ 　立ち上がりから試合終了まで、日本のパフォーマンスはほぼ完璧だった。GKを含む最終ラインのパス回しに危うさがあったものの（平河悠の怪我も心配）、ペースを握りはじめた時間帯で先制し、そろそろ２点目が欲しいタイミングで追加点を奪取。さらにそこから加点と、パラグアイの心を完全にへし折った試合運びは痛快だった。 　ともに２ゴールを奪った三戸舜介と藤尾翔太、抜群のテクニックを見せつけた斉藤光毅らの働き以上に素晴らしかったのが、藤田譲瑠チマのボール捌きとゲームコントロール。ひとり格が違うと、そんな印象さえあった。 　 　ボールの受け方からして独特の雰囲気があり、そこからの展開もよどみない。相手のプレスを意に介さず、的確に味方へボールを届ける。キープ力も抜群で、試合終盤、複数人に囲まれた局面でも巧みなボールタッチでヒョイヒョイとかわしていた。 　そんな彼は”大岩ジャパンのオアシス”。ピッチ上のチームメイトに安らぎを与えてくれる存在で、その影響力は改めてパラグアイ戦で証明された。藤田なしにチームは成り立たない。初戦からフル出場させるのも当然だろうと、個人的にはそう思った。 　最後まで落ちない運動量もさすがで、今大会のパフォーマンス次第ではビッグクラブに引き抜かれるかもしれない。そんな期待さえ抱かせる活躍ぶりだった。 文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）