見えないものを可視化するヨシロットン。その師と共に作品を振り返る
7. 読み込みの柱
長い柱が回転し、周囲の光を反射し姿を変えていく作品です。
8. パイライト
YOSHIROTTEN氏の好きな石である「パイライト」をタイトルとした作品。 「まるで呼吸するように中の光がついたり消えたりしていて、周りの光を反射巣る状態と、中が光る状態を交互に繰り返すようになっています。会場が暗いとまた違った表情を見せてくれます」 by YOSHIROTTEN
9. U.F.O. (Unearthed Found Objects)
展覧会で唯一二階に展示されている作品がこちらです。 アンテナ施設やソーラーパネルの畑が立ち並ぶ霧島の風景や、屋久杉、軽石、花などを立体コラージュ。いくつか設置されたモニターには、霧島周辺をiPhoneで記録した映像から情報を削いだムービーが投影されていて、情報の真実性を問いかける側面も。 土井コメント: 行く前からメディアで展示情報を見ていて、一番気になっていた作品です。 断然コレがタイプ。自分の脳内にあるものが具現化されたような親近感が持てました。 見えない力を使って交信するものなので。 だって宇宙人とかと交信したいじゃないですか。
10. オレンジの光窓
実は天井もYOSHIROTTEN氏の作品です。 アートの森の天窓から着想を得て、人工的なオレンジの光を追加。 その時間帯の光や天候とオレンジの光がミックスされ、一期一会の光景が誕生。さらにはその光がシルバーの岩や<メンヒル>、<パイライト>などの作品に影響を与えていく、まさに「展覧会全体が一つの作品」というコンセプトを体現する作品ですね。 最後に土井氏の総評です。 総評「地球と宇宙という2つの未知」by 土井宏明 今回の展示では、地球内部(コア)と宇宙(アウター)という2つの未知の世界をテーマにしているように感じました。 彼は昔から地球の鉱物や石に興味を持っていて、自身の地元でもある鹿児島の霧島という場所で、火山や温泉が放つ地球のエネルギーをスキャニングし、そこから作品を生み出しました。この地場の力を取り込んだ展示は、まさに46億年の歴史のある「地球のエネルギーそのもの」を表現したものだと思います。 一方で、彼の作品には「光とは何か」という問いが根底にあります。作品の中にある光の点にフォーカスすると、不思議な気持ちになるんです。 RGBやモニターの光、グラデーションの映像は、インフォメーションがないと綺麗な映像として目に映ります。しかし今回、彼が用いたフィールドスキャニングというプロセスについて知り、実際にスキャンの現場を目の当たりにすることができ、その本質に触れることができました。 彼が示したかったのは人間の可視領域を超えた光の存在だと。 例えば赤外線や昆虫が見る世界、さらには宇宙に飛び交う見えない光線。それをどう視覚化するか、彼なりの挑戦を感じました。 彼の作品はただ「見る」のではなく、偶発的に表れる光の動向や干渉を追うことが正しい鑑賞方法でしょう。例えば、上下する巨大な「グリーンスキャナー」や「宙の窓」の光が「パイライト」や「読み込みの柱」に映り込む様子は、偶発な視覚効果を意識的に取り入れたものでした。 今回のFUTURE NATUREで彼が目指していたのは、地球と宇宙という、どちらも未知の領域をスキャニングして「見えないものを可視化する」というテーマだと感じました。これはまさに自分のやっているビジュアルを作る行為とも共通し、共感する部分です。 僕もいけるのなら宇宙に行きたい。是非、一緒に火星に行ってフィールドスキャニングをしよう。 YOSHIROTTENの個展「特別企画展 ヨシロットン展 FUTURE NATURE Ⅱ in Kagoshima」は、12月8日まで開催中です。 ぜひ、これらのアートを体験してみてください。 Source : 特別企画展 ヨシロットン展「FUTURE NATURE II In Kagoshima」
照沼健太