弘法大師が開いた天空の聖地へ! 高野山は涼しく快適な別天地、聖地「奥之院」を歩く
町石道を歩くルポ「世界遺産・熊野古道を行く! 山麓から180町の【町石道編】」「弘法大師も通った高野山への道! 山麓から180町の【町石道編】」で、二日に分けて歩いた町石道をご紹介してきました。いよいよ西側の大門から山上の中心地へ。そして、東側の奥ノ院を目指します。 【写真】天空の聖地を目指す高野山上ハイクを見る(全9枚)
天空の聖地「宗教都市高野山上」を歩く
高野山は、標高1000m前後の峰々に囲まれた盆地のような街。言わずと知れた、弘法大師空海が開創した真言密教の聖地です。高野山全域が「総本山金剛峯寺」であり、117もの寺院が集まっています。そこで修行するお坊さんだけで1000人を超えると言われていて、日本随一の宗教都市なのです。 その中でも、とくに大切な場所とされているのが、「壇上伽藍(だんじょうがらん)」と「奥ノ院」。町石道のゴールは壇上伽藍で、その中心をなすのが巨大な根本大塔(こんぽんだいとう)です。 内部も拝観することができるのですが、ご本尊は大日如来、そのまわりを金剛界の四仏が囲んでいて、ぐるりと一周しながらお詣りします。 近年、外国人旅行者の姿が本当に多くなってきました。この日も、周囲にいる参拝者の半分以上は欧米系の外国人旅行者でした。 ここから、奥ノ院を目指して山上を歩いていきます。金剛峯寺前を過ぎると、土産物屋や食堂など、お店がたくさん建ち並ぶゾーンに。歩き疲れたので、高野山名物の胡麻豆腐で一服。 胡麻豆腐は、精進料理の重要アイテムのひとつで、栄養豊富な胡麻をすりつぶし、葛で練り上げて作られます。筆者のお気に入りは、和三盆糖をかけて食べるというもの。もちろん山葵と醤油で食べるのも美味しいのですが、疲れているときは和三盆のやさしい甘さに癒されます。 お寺の宿坊が軒を並べるなか、東へ進み、一ノ橋から奥ノ院参道へ入っていきます。 見上げるような巨木に囲まれた参道は、ひんやりとした空気感がとても気持ちのいい場所。 聖地高野山の中でも、特別神聖な場所とされ、独特の静謐な空気が立ち込めています。20万基を超える苔むした墓石群が建ち並び、徳川家をはじめ、各地の大名家の墓所、織田信長、豊臣一族、明智光秀など、歴史に名を刻んだ武将たちも眠っています。 え? その武将とあの武将がそんな距離にいらして大丈夫なんですか? 夜中にモメてませんか? などと、いらない心配をしながら歩きます。 高野山では、弘法大師は入定により永遠の瞑想修行をしているとされ、奥ノ院の一番奥にある御廟(ごびょう)がその場所。御廟橋から先は、写真撮影は禁止となっていて、何か身が引き締まるような独特の雰囲気です。 御廟にお詣りしたあとは、休憩所でちょっとお茶をいただいてから、奥ノ院の背後を囲むように連なる「高野三山」へ。 休憩所の裏手には、かまどにかけられた茶釜があり、いつもお茶がたっぷりと沸かされています。柄杓で汲んでいただくお茶はとても美味しい。 一服後は摩尼峠(まにとうげ)へ向かって登ります。