なぜ日本は電気自動車の「電費」がイマイチなのか、その納得の理由
結果
最後の高速セクションを走行して、ゴール地点である横浜にある日産本社に到着。ここでは同じ性能の急速充電器を使用して各車の充電性能のチェックも行う。まず電費テストの結果だが、アリアはバッテリーの残量は56%。走行可能距離は332km。満充電時の走行可能距離は約588.5kmとなり、カタログ燃費の91.9%という達成率となっている。 対して、シールのバッテリー容量は58%。走行可能距離は374kmで、満充電時の走行可能距離は約629kmと98.2%となった。 今回の電費テストの結果をみると、ボディサイズの違いによる空力性能の差があるとはいえ、シールのほうがエネルギーマネージメントにおいて優位があることがわかった。テスト中は両車ともにエアコンの設定温度を25度に設定したが、シールはエアコンをオンにしても走行距離に変動は見られなかったからだ。電費にシビアなBEVだからこそ、上手なエネルギーマネージメントが求められる。その点でバッテリーメーカーがルーツであるBYDは一日の長があると言える。 最後に急速充電器で30分充電した結果だが、アリアは93%まで充電でき、33.9kWh充電できた。 対してシールは94%、34.6kWhで、充電性能もシールが若干リードするという結果となった。 日産アリアとBYDシールは、SUVとセダンというボディタイプ以上に、同じ2WDとはいえ、前輪駆動のアリアと後輪駆動のシールでは全く走行フィールは異なったので、この点で比較するのはナンセンスだ。しかし、様々なシーンを走行した電費テストは興味深い結果となった。これを見て、日産アリアB9 2WDとBYDシールRWDの約200万円差を考えた時に、今後の低価格BEVにおけるBYDに優位性がある言えるだろう。
萩原 文博(自動車ライター)