なぜ日本は電気自動車の「電費」がイマイチなのか、その納得の理由
テスト車両
今回のテストに使用したのは、車両本体価格738万2100円の日産アリアB9 2WD。そして528万円のBYDシールRWD。 各車のスペックは、日産アリアB9 2WDのボディサイズは全長4,595mm×全幅1,850mm×全高1,665mm(プロパイロット2.0装着車)、車両重量は2,060kg、モーターは最高出力242ps、最大トルク300Nmを発生、駆動用バッテリー容量は91kWhとなっている。 対してBYDシールRWDのボディサイズは全長4,800mm×全幅1,875mm×全高1,460mm、車両重量2,100kg、モーターは最高出力312ps、最大トルク360Nmを発生。駆動用バッテリー容量は82.56kwhだ。 WLTCモードでの満充電時の走行可能距離は640kmと同じだが、スペックを見ると、バッテリー容量は日産アリアB9 2WDのほうが大きく、モーター出力はBYDシールRWDのほうが高い。ボディサイズはSUVのアリアに対して、セダンタイプのシールと異なるが、車両重量は40kgもシールのほうが重くなっている。これはシールが搭載しているブレードバッテリーの重量の影響と言える。
万全の状態で実走
アリア、シール共に前夜から普通充電で充電を行いバッテリー量100%でスタートできるように準備した。スタート時メーターを確認するとシールは100%で走行可能距離が640kmと表示しているが、アリアは100%にもかかわらず463kmの表示。これは前回走行したで電費データーに基づいて走行可能距離を表しているのだ。 アリアのほうがホスピタリティは高いように感じるが、個人的な意見としてはシールのほうがBEVとしての表示としては正しいと思う。それはフル充電したのにこれしか走らないの?という感覚を持ってしまうからだ。さきほども書いたが、BEVの電費は非常にシビア。走り方で走行可能距離は大きく変わってしまう。 それならばシールのように100%充電時は走行可能距離MAXの値を表示し、減っていったほうがドライバーとしては、心にゆとりが持てるのではないだろうか。 都心から河口湖に向かう中央道はダラダラとした上り坂が続く区間だ。約90km走行し、途中の谷村PAで計測すると、アリアの残りのバッテリー量は83%。走行可能距離は404km。対して、シールは85%、547kmとなっている 続いて箱根でも高い場所にある芦ノ湖スカイラインで計測を行う。アリアの残りのバッテリー量は69%。走行可能距離は340km。対してシールは70%、走行可能距離は451km。上り坂の多いワインディングセクションで残りのバッテリー量は1%となりほぼ互角の様相だ。 箱根から小田原まで一気に降り、平坦な西湘バイパスを通り江の島付近で再び計測を行う。アリアの残りのバッテリー量は64%。走行可能距離は371km。シールは66%、422kmとなった。前回の計測ポイントから58km走行したにも関わらず、バッテリー量の減りが少ないのは、箱根から小田原に下るときにエネルギーを回生したからだ。 その時アリアをドライブしていたが、箱根新道の頂上から最終地点に降りるまでに約90kmも走行可能距離が伸びた。エネルギーの回生はBEVの特徴であるが、以前乗ったモデルよりもこの回生の性能が格段に進化していることを実感した。