なぜ日本は電気自動車の「電費」がイマイチなのか、その納得の理由
充電器の問題も
自動車専門メディアで良く目にするコンテンツの1つが、エンジン車による燃費テストだ。ガソリン価格が高騰すると、こういった企画はユーザーのクルマ購入の際に参考となる。しかしBEVによる電費テストというのはあまり見かけたことがない。その理由は、各車のバッテリーの充電量を100%に揃えるというハードルが予想以上に高いからだ。 エンジン車の場合、同じガソリンスタンドで燃料満タンにすれば同じ条件になるが、BEVの場合は同じ場所に普通充電器が設置されていないとイコールコンディションにならない。現状、普通充電器が設置されている駐車場というのは少ない。しかし、偶然筆者の自宅の近くにある時間貸しの駐車場に、3台の200V 6kWhの普通充電器が実証実験として設置された。しかも駐車場代を支払えば、充電料金は現在のところ無料。 元々、自宅の立体駐車場はボディサイズに加えて車両重量に制限があるため、現在販売されているBEVのほとんどが入庫することができない。したがって試乗する際には、時間貸しの駐車場を利用する。この実証実験のおかげで、停めている間に充電が100%でき、まるで自宅に充電器があるような感覚が味わえ、BEVのメリットを感じられるようになった。 そこで思いついたのが今回の企画だ。カタログスペック上のWLTCモードの満充電時の走行可能距離が同じ640kmの日産アリアB92WDとBYD シール2WDの電費テストを行うというもの。 走行ルートは、普通充電器のある千駄ヶ谷駐車場をスタートし、首都高速外苑ランプから中央道を経由し、東富士五湖道路の須走ICまでの高速セクション。須走ICからは一般道で御殿場を抜けて、箱根にある芦ノ湖スカイラインを経由し、箱根新道で一気に小田原まで下るワインディングセクション。 小田原からは西湘バイパスを経由し、海沿いの国道134号線で鎌倉を通り、横浜横須賀道路の朝比奈ICまで走行する郊外路セクション。そして朝比奈ICから首都高東神奈川ICまで走行する2度目の高速セクションという約250kmのルートを設定した。