エルメスの新作「エルメス カット」、待望の女性用機械式時計が登場 知的・遊び心アリ!
■時計作り 創業者ファミリーの「ごっこ」が原点?
エルメス カットを生み出し、ウオッチメイキングにおける本気度を改めて印象づけたエルメスですが、実は時計製造においても古い歴史があります。 1912年に撮影されたこのポートレート。創業者ファミリーの4姉妹のジャクリーヌが、懐中時計にメゾンのレザーで作ったストラップをつけた腕時計をしています。 時計が大好きだったというジャクリーヌ。おしゃまな女の子の、このラグジュアリーな「時計ごっこ」は、創作の原点であり、後に製造されるタイムピースの原型にもなったといわれています。 そしてその7年後の1928年、エルメスの初代ウオッチ「エルメト」が誕生しました。 これはスライドして開閉するシャッターシステムを自動巻き機構につなげたポケットウオッチです。スイスの時計マニュファクチュールの「Movado(モバード)」社と共同で製造され、エルメスのレザー製シース(さや)が付きます。 以降、バックルにシークレットウオッチをあしらったゴルファー用のベルトなど、時計専業のマニュファクチュールとは異なる、一流の遊び心あふれる時計作りをしてきました。1978年には時計産業が盛んなスイスのビエンヌに「ラ・モントル・エルメス(現エルメス・オルロジェ)」を設立。 そして2006年には自社製ムーブメントの製造を開始。自社内で時計のムーブメントを製造できる「マニュファクチュール」として、時計界でも確固たるステータスを築き上げ、現在に至っています。
■精緻なムーブメント 裏から「鑑賞」する楽しみも
エルメス カットに搭載されているのも、もちろん独自ムーブメントである「H1912」。サファイアクリスタルのケースバックからその動きを楽しめます。 ケースはステンレススチールと、ステンレススチール&ピンクゴールドのバイカラーの2種類。それぞれ、ベゼルにダイヤモンドをセッティングしたモデルとシンプルなモデルの2タイプをそろえています。ブレスレットも同様に、ステンレススチールと、ステンレススチール&ピンクゴールドのバイカラーの2種類で展開。その他8色のラバーストラップもラインアップされ、インターチェンジャブル方式によって交換も可能! オンもオフも、働く女性の日常に寄り添うエルメスのスポーティーなウオッチは、着こなしにワンランク上の洗練をもたらすに違いありません。 文:岡村佳代(ウオッチ&ジュエリージャーナリスト)
岡村佳代
学生時代から執筆活動を開始。女性向け本格時計のムックに携わったのをきっかけに機械式時計の魅力に開眼。本格時計に関心が薄かった女性にその魅力を伝えるべく、女性誌などを舞台に活躍してきた。高級ブランドが集まるスイスの時計フェアを中心に世界での取材経験も豊富。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。