”モテない男は幸せそうに見えない”は本当なのか…人生における「幸福」の決定要素は自分が承認されているという感覚だけである理由
経済評論家の父から息子への手紙 #5
経済評論家の山崎元氏が、若い世代が人生を豊かに過ごすために必要なお金についての知識や考え方をまとめた書籍『経済評論家の父から息子への手紙』。亡くなった後に出版されたこの書籍は、1年経った現在でも読まれ続けている。 【画像】お金と自由のポジショニングのマトリックス 本記事では書籍から一部を抜粋・再構成し、「幸福」という概念の本質的な要素を解説する。
幸福の決定要素は、実は一つだけ
たいていの人間は幸せでありたいと願う。では、幸せを感じる「要素」、あるいは「尺度」は何か。多くの先人がこの問題を考えている。 父はこの問題に暫定的な結論を得た。人の幸福感はほとんど100%が「自分が承認されているという感覚」(「自己承認感」としておこう)でできている。そのように思う。 現実には、例えば衣食住のコストをゼロにする訳にはいかないから「豊かさ・お金」が少々必要かもしれないが、要素としては些末だ。また、「健康」は別格かもしれないが、除外する。
お金と自由とは緩やかに交換可能だが、それで幸福か?
「自由度+豊かさ」、「富+名声」、「自由度+豊かさ+人間関係」、「自己決定範囲の大きさ+良い人間関係+社会貢献」、「自由度+豊かさ+モテ具合」、などなどいろいろな組み合わせを考えてみたが、まとめてみた時にいずれも切れ味を欠いた。 少し眺めてみよう。 例えば、自分にできること、すなわち自由の範囲が大きいことは一般に幸福だとされている。一方、「好きなこと」で稼いで豊かさを得ることは簡単ではない。 むしろ、好きではないことを我慢して稼ぐことが、豊かさへの近道になる場合が多い。 このように自由を我慢してお金に換える交換回路がある一方で、お金があれば、行きたいところに行ける、立派な家に住める、果ては「トロフィー的配偶者」まで手に入る(何のためかは別として)といった自由の範囲の拡大が可能になる。 図5でお金と自由のポジショニングを示したが、仮に左下から出発するとして、右回りで右上を目指すか、左回りで右上を目指すか?世間には左回りが多いように見える。 お金と自由とは緩やかに交換可能だ(図6)。 ちなみに、父の職業人生を振り返ると、図7のような感じだろうか。大まかには左回りだ。金融パーソンとしての後半(外資系証券会社に転職以降)は、そう楽しいものではない時期があった。評論家としての比率が増えて自由度が増してから楽しくなった。
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