「名門音大への合格者は事前に決まっている。それが音楽世界の常識」と噓をつき、間接的な金銭要求、ハラスメントと「やりたい放題」の「ヤバすぎるピアノ講師」の実態
大学側の答え
それにしても、関西の実力派ピアニストでもある講師女性が、「高校2年生でもう入学が確約されている」と話題にした大教大「音楽表現コース」、すなわち大阪教育大学では、これをどう捉えているのか。大教大広報室に訊いてみた。以下、その一問一答である。 ――すばりお伺い致します。高校1年、2年生を含めて、御学への入学を希望している高校生に、合格発表以外の場で、合否を確約した教員はいらっしゃいますでしょうか? ≪おりません。また、できません。≫ この根拠については、以下の記者の質問と大教大の回答から見て取れる。 ――大教大、とりわけ話題の音楽表現コース(その前身となるコースも含む)における合否のプロセスはどのようなものか。 ≪入学者選抜は、大学入学共通テストの成績、本学で実施する個別学力検査等の成績、調査書及び志願者本人が記載する書類等の内容を総合して行っております。なお、実技試験の実施を含め、入学試験に関わる審査及び採点については、複数人で行うことを徹底しております。合格者の決定は、合否判定会議の議を経て、学長が決定しております。≫ 実際、一人の大学教員の一存で、受験前、それも高校2年の時点で入学試験以外の場で合否を決めることなど、まず有り得ないだろう。また大教大では、さらにこうも回答している。 ≪(教員が)オープンキャンパスや出前授業、受験生相談会等といった本学の入試広報、又は高校生を対象としたコンクール等における審査員を務めるなど、本学の受験を考えているいないにかかわらず高校2年生と本学教員が直接会ったという事はございます。しかし、その場で合否を決定するとうことはありません。また、決定することもできません。≫
荒唐無稽な話
もっとも入学前に受験生と会い、レッスンを行った教員はいるようだ。これについては次のような回答が寄せられた。 ≪オープンキャンパスや出前授業、公開レッスン、受験生相談会等といった本学の入試広報の一環として行っている事に加え、教員個人の活動の中で、適正な手続きのうえ教育の社会還元の一環としてレッスンを行う事はございます。≫ 大教大では、このように「教員個人の活動の中で、適性な手続きのうえ……」と公に回答している。もし、「適性な手続きを経ていないレッスン」を行い、加えて大学の手続きや規則に則っていない「入学の確約」までしていた教員がいたとなると、それは後々、大きな問題となる。 こうした入試に絡む疑惑は、大教大にとって甚だ迷惑な話だ。そのため今回、大教大では、この話題について徹底した調査を行っている。 ≪正確を期すため、同コースの入試に関わる教員にヒアリングを行いました。なお、非常勤講師が入試に関わることはございません。≫ 国立大学法人が、ここまでの調査を行ったのである。どう考えても大教大の音楽表現コースへの入学に、「高校2年生の時点で確約」だの、「上の先生に渡す」だの、ましてや「ピアノの師匠が入学先を決める」などということは荒唐無稽な話であると言わざるを得ないだろう。 だが、ピアノに将来の夢を託す中高生にとっては、やはり“師匠”。親も含めて、その言葉を重く受け止める。そうした自覚が、今回の疑惑の発端となったピアニスト、講師女性の彼女にはあるのだろうか。恐らくないのだろう。だからこそ好き勝手にいろいろなことが言えるのだ。 彼女は大教大の入試に関することのみならず、ここの教育協働学科「音楽表現コース」について「廃止になる」と断言し、それも「大教大に近い筋が言っている」という言葉まで口にしている。実際、関西の音楽界では、何年も前から、この話題が出ては消えとしているそうだ。