災害時にいのちと暮らしを守る「コンビニ」 3.11の教訓が生きる非常時の防災マニュアル #知り続ける
■レジ対応ができるか?トラック運転は可能か? 応援隊は“確実な支援”が可能なスキルを持つ人材で結成
各店舗で安否確認のあと行われるのは店舗建物の状況確認だ。建物に損傷や倒壊の恐れがないか、営業できるか否か。建物の安全が確認されると、物資供給・応援部隊の派遣の検討が始まる。 ここでのポイントは“一方的な支援”にならないことだという。被災地へは食料や水をいち早く届けたいと気がせくが、被災直後の店舗では商品の片づけや整頓に追われ、物資受け入れの態勢が整っていないケースも多い。 「コンビニがライフラインと呼ばれるようになり、発災からいかに時間のロスなく店舗の営業再開ができるかということが我々にとっては非常に重要です。そのためには、供給・派遣の速さだけでなく、それが“確実な支援”になっているかどうか、見極めることも大切になってきます」 阪神・淡路大震災の際には、震災後、即座にバスで応援隊を現地に向かわせたが、瓦礫の山で目的地までたどり着けず、途中から歩いて現地へと向かったという経験があった。応援隊が疲労困憊の状態では本来のパフォーマンスが発揮できないだろう。また、店舗が必要とする応援とのミスマッチも少なからずあったと話す。 「ですから今はしっかり情報収集をした上で、どこの店にどんな応援隊が必要か、それにふさわしい人材は誰かということまで検討し派遣を行っています。レジ対応ができる、トラックの運転ができる、地域の道に詳しいなど、従業員のさまざまなスキルを一覧表にしており、被災店舗の状況に合わせた応援隊を結成しています」 例えば、従業員が被災して物流センターから物資を運べない場合には、トラックを運転できる人材を送る。東日本大震災の際にはガソリンが不足する状況が起こった。この時は、タンクローリーを運転できる人材がガソリンを送り届け、物資供給が行えたという例もある。 「昨今では“通信”もインフラでいえば重要になりました。能登半島地震では大手通信会社が海上にアンテナ付きの船を出しました。そのおかげで通信によるトラブルや不便はほとんどなかったのではないでしょうか。ですが、今後も同じように通信確保ができるとは限りません。火山噴火などで噴煙、粉塵が宙を舞い飛ぶ中、通信が可能かわかりませんし、通信機器の充電などの課題もあります」 能登半島地震では広範囲の「断水」が人々を苦しめたが、今後は断水対策と「通信」への備えが必要ではないかと指摘する。