米アウトレットストアの変化。在庫処分の場ではなく新規顧客獲得チャネルへと進化
バイレード(Byredo)、ラネージュ(Laneige)、ケヴィンオークイン(Kevyn Aucoin)、クリニーク(Clinique)、ベネフィット(Benefit)、マリオバデスク(Mario Badescu)など、割引率の高い数多くのブランドが並ぶディスカウントストアの美容コーナーは、これまでになくアルタ・ビューティ(Ulta Beauty)やセフォラ(Sephora)のような様相を呈している。 マーシャルズ(Marshalls)、T.J.マックス(TJ Maxx)、ノードストローム・ラック(Nordstrom Rack)、サックス・オフ・フィフス(Saks Off 5th) といった高級百貨店のアウトレットストアの存在感は、値下げされた商品の販売がブランドエクイティの希薄化につながるという懸念から、美容ブランド間では長いあいだセンシティブなテーマとなっていた。
様変わりしたアウトレットストアの棚
だがこうしたいくつかのアウトレットストアを覗いてみると、現在では、トゥーフェイスド(Too Faced)、パッチョロジー(Patchology)、ジ・オーディナリー(The Ordinary)、エレミス(Elemis)といったブランドの商品が幅広く、かつ豊富に取り揃えられていることがわかる。そしてこれらのブランドは、かつてのような普通の陳列棚ではなく、プレミアムゴンドラに陳列されている。
アウトレットストアでの販売戦略
「ノードストローム・ラックの美容戦略の大部分が、ノードストローム(Nordstrom)の店舗と同等の価格設定に基づいていることに人々は気づいていないかもしない」と話すのは、パッチョロジーとドクターデイナネイルズ(Dr. Dana Nails)を所有するレアビューティブランズ(Rare Beauty Brands)のプレジデント兼CEOを務めるクリス・ホブソン氏だ。パッチョロジーの商品は4ドル(約600円)から50ドル(約7520円)で販売されている。 「パッチョロジーの価格設定の整合性を維持するため、(ノードストローム・ラックでの販売は)当社にとって重要な検討事項だった。ノードストロームは、ノードストロームとノードストローム・ラックの相互関係に対して戦略的である。ラックは、新たな消費者をノードストロームのフランチャイズに呼び込むことができる場所であり、その後そうした消費者はノードストロームの正規店で買い物をする可能性が高くなると感じている」。 ホブソン氏は、パッチョロジーはT.J.マックスやマーシャルズのようなアウトレットストアを通じて余剰のホリデーキットを売り出すことはあるが、アウトレットストアとの提携を中心的な戦略とすることはブランドの利益にはならないと付け加えた。パッチョロジーは約1年半前からノードストローム・ラックで販売されている。ホブソン氏はブランド売上高の公表を避けたが、ノードストローム・ラックでの販売が開始されてから、「すぐに」ノードストロームでの売上が増加したと明かした。 ノードストローム・ラックにおいては商品のトライアル促進がパッチョロジーの主な焦点となっており、同ブランドは、1組および5組のアイパッチセットや、4ドル(約600円)から15ドル(約2260円)のシートマスクなど、より安価な商品を販売している。