米アウトレットストアの変化。在庫処分の場ではなく新規顧客獲得チャネルへと進化
ディスカウントストアは新規顧客獲得のための最大のチャネル
2023年11月に発表されたノードストロームの2023年度第3四半期決算によると、同社の総売上高は前年同期比1.8%減の23億ドル(約3461億円)だったが、これはノードストローム・ラックのデジタル注文に対する店舗フルフィルメントが廃止されたことも一因である。 一方でマーシャルズ、T.J.マックス、ホームグッズ(HomeGoods)を擁するTJXは、2023年11月、前年同期比9%増の売上高133億ドル(約2.15兆円)を計上した。非上場のハドソン・ベイ・カンパニー(Hudson Bay Company)が所有するサックス・オフ・フィフスの幹部は財務数値の公表を避けた。2021年、SaksOff5th.comは複数の事業パートナーから2億ドル(約301億円)の投資を受け、ハドソン・ベイ・カンパニーとプライベートエクイティ会社インサイト・パートナーズ(Insight Partners)との提携により別会社となった。 その結果、このeコマースサイトの評価額は10億ドル(約1505億円)に達した。またこの記事について、ノードストローム・ラックからはコメントを得られなかった。 ノードストロームのCEO、エリック・ノードストローム氏は2023年11月の決算説明会で、「ラック店舗は当社にとって、資本コストをはるかに上回るリターンを短期間で回収できるすばらしい投資であり続けている。また、引き続き新規顧客獲得の最大の源でもあり、(ラックとノードストロームの)ブランド間の流動もうまくいっている」と語った。 メンズスキンケアブランドのジャック・ブラック(Jack Black)をはじめとする他ブランド幹部は、オフプライス小売に関してはパッチョロジーのノードストロームにおける戦略と同様の戦略をとっているという。ジャック・ブラックはノードストローム・ラックとサックス・オフ・フィフスを通じて、人気商品のトラベルサイズ、セット割引のギフトセット、リップクリームなどの低価格商品を販売している。 親会社であるエッジウェル・パーソナルケア(Edgewell Personal Care)のグルーミング担当シニアデジタル&メディアマーケティングマネージャーであるローレン・デ・ウェット氏によると、ジャック・ブラックのチームは、ディスカウントストアを顧客獲得のためのチャネル、「特にまだブランドロイヤルティを形成していない若年層」を獲得するための貴重なチャネルと考えている。またこれらの店舗はギフト用や家族のための買い物をする女性など、より幅広い層にアプローチすることができ、ブランド認知度をさらに高めることができるという。 [原文:Beauty & Wellness Briefing: The beauty sections of off-price retailers are getting an elevated makeover] EMMA SANDLER AND LEXY LEBSACK(翻訳:Maya Kishida、編集:都築成果)
編集部