誹謗中傷等に対する対策について
6. 誹謗中傷は、誹謗中傷者自身を不幸にするものであること
誹謗中傷問題に取り組んでいる識者の方(実名記載の了解を頂戴していないので、匿名にしています。)が仰っていたことですが、誹謗中傷者に、誹謗中傷で不幸になるのは自分自身だということを認識させることも、誹謗中傷対策として大事な手段の一つです。 確かに、誹謗中傷者は、誹謗中傷を行うことで、刑事上・民事上の法的責任を問われ、不幸になります。 仮に法的責任というレベルまでいかないとしても、誹謗中傷者から人は離れていきます。被害者でなくても、誹謗中傷者の個人攻撃的な言動や他者を侮辱する言動を客観的・中立的に見ている人からすれば、「この人とは人間として付き合いたくない」となって、誹謗中傷者から離れていくのが自然です。誹謗中傷者は最後は誰からも相手にされなくなってしまいます※10。 ※10 樺沢紫苑「よく悪口を言う人ほど「不幸になる」科学的根拠 楽しいのは一瞬だけ「人を呪わば穴二つ」(東洋経済オンライン)( https://toyokeizai.net/articles/-/366140?page=3 )も、「心理学の法則で『返報性の法則』というのがあります。人は誰かに親切にされたとき、「その親切をお返ししないといけない」という気持ちが湧き上がる心理です。「好意の返報性」を上手に使うと、あなたの信頼度を高め、人間関係を深めることが可能です。しかし、残念なことに世の中の多くの人は、「悪意の返報性」を使っています。ネガティブな感情に対しては、人はネガティブな感情を返したくなるものです…【中略】あなたは「よく悪口を言う人」と周りにネガティブな印象を植え付けてしまいます。いつ自分に矛先が向かうかわからないので、周りの人たちは悪口を言う人を心から信頼しないでしょう。」と述べています。 そうしたことを誹謗中傷者に気付かせることも、誹謗中傷対策として有効なのだと思います※11。 ※11 ネット上の誹謗中傷・ネットいじめ(cyberbullying)を行う加害者の属性に関する研究について系統的レビューを行った興味深い研究として、“Perpetrators'perspective on cyberbullying: a qualitative systematic review with bibliometric analysis” Suhans Bansal, Naval Garg, Jagvinder Singh, Library Hi tech, 30 Oct 2023がありますので、関心のある読者はご一読ください。 木目田 裕 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー弁護士
木目田 裕