人工甘味料が腸にダメージを与える? 海外の研究で判明
※この記事は、海外のサイト『Prevention』で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。 心臓病やがんなど、さまざまなリスクを高めることで知られる人工甘味料。今回、研究者らは腸に与えるダメージをこのリストに追加したという。 科学誌『フロンティアズ・イン・ニュートリション』に掲載された研究では、ネオテームとして知られる人工甘味料が腸の健康に与える影響を調査。研究者らはネオテーム曝露の影響を調査するにあたり、研究室内で腸のモデルを作成し、腸内マイクロバイオームの動向を再現するため、消化管でよく見られる二つの一般的な細菌(大腸菌とエンテロコッカス・フェカーリス)を加えた。 その結果、ネオテームへの曝露により腸壁の細胞死と漏れが増加することが分かったという。さらに研究者らは、通常は無害な腸内細菌が人工甘味料によって、塊を形成し腸内壁の細胞に付着して侵入するといった、病気を引き起こす恐れのある行動を始めたことを発見した。
今回の研究では、生きた人間の腸内におけるネオテーム曝露の影響に関する調査は実施されていないが、この研究結果から、ネオテーム曝露によって腸の内壁が破壊されたり、腸内細菌(別名、腸内マイクロバイオーム)のバランスが崩れることで、最終的に過敏性腸症候群(IBS)や敗血症につながる危険性が示唆されている。 では、ほかの人工甘味料はどう? 人工甘味料は大腸で発酵するので、ガスや膨満感などの症状を引き起こす可能性があります、と、医療機器メーカー「メドトロニック」の消化器専門医兼内視鏡部門の最高医療責任者であるオースティン・チャン医学博士は説明する。 「人工甘味料が腸の健康にどのように影響を与えるか、腸の疾患に寄与するか完全には解明されていませんが、一部の人工甘味料が腸内マイクロバイオータを変化させる可能性を示した研究があります」と博士は説明する。腸内マイクロバイオームの変化が、2型糖尿病のような代謝障害のリスクを高め、さらに血糖値を調節する体の機能が乱れ、耐糖能障害につながる恐れがあります、とニュージャージー州消化器病学会の消化器専門医であるアンドリュー・ボクサー医学博士は話す。 人工甘味料は腸内細菌のバランスを崩すだけでなく、炎症を促進し、腸のバリア機能を損なうことが動物実験で示唆されています、と続けるボクサー博士。そのうえ「人工甘味料は、食欲やエネルギー摂取を調節する体の機能を妨害し、間接的に腸の健康に影響を与える可能性があります」とも。食欲調節の変化は食事パターンや栄養素の吸収に影響を及ぼすため、腸全体の機能が侵害される恐れがあります、と博士は説明する。