人工甘味料が腸にダメージを与える? 海外の研究で判明
すでに消化器系の問題を抱えている人にとって、人工甘味料が症状を悪化させる可能性がある。「ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの人工甘味料は、腸内細菌によって発酵されるので、とくに消化器系が繊細な人はガスや膨満感、腹部の不快感が起こる可能性があります」とボクサー博士は話す。 人工甘味料は腸壁の透過性を高めるため、水分や栄養素以外の物質までもが腸壁を通り抜ける(つまり「漏れる」)リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)の原因にもなりうるという。「クローン病のように、腸のバリア機能がすでに低下している病気の場合、透過性が高まることで炎症や症状が悪化する恐れがあります」と補足するボクサー博士。「人工甘味料は、過敏性腸症候群(IBS)などの疾患でよく見られる下痢や便秘といった症状を引き起こす可能性もあります」
まとめ
この研究は、人工甘味料ががんのリスクに与える影響については調査していませんが、甘味料がいかにして消化管にダメージを与え、調節不全を引き起こすかを明らかにしています、とボクサー博士。「重要なポイントは、人工甘味料は消化管にとって非常に危険なものとなる恐れがあり、ガスや膨満感といった単純な症状から、特定のがんのリスクを引き起こす可能性があるということです」総合的に見て、加工食品や化学物質は避けるのが理想的です、とボクサー博士はコメントする。 とはいえ、糖尿病や肥満症といった疾患のある人など、人工甘味料の恩恵を受ける人もいます、と話すチャン博士。「砂糖を代用するほうが、これらの甘味料を避けるよりもより大きく、より明確な健康メリットがある場合があります。結局のところ、人工甘味料を避けるかどうかの判断は、患者によって異なるのです」
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images