スプリンターズステークスで外国馬は買うべきか? 過去に勝利を収めた外国馬の好走パターンから推理
今週は「スプリンターズステークス」。ついに秋のGⅠ戦線がスタートします。今年のスプリンターズステークスは昨年の勝ち馬ママコチャや今年の高松宮記念勝ち馬マッドクール、さらにサトノレーヴやピューロマジックといった夏に重賞を勝ってきた上がり馬もおり、非常に濃いメンバーで行われます。 そして、その「濃さ」に一役買っているのがビクターザウィナー、ムゲンの香港馬2頭でしょう。そして同時に、予想における悩みの種かもしれません。 これまで3頭の海外馬がスプリンターズステークスを制覇。その3頭の共通点を解説しながら、今年出走の2頭が「買いか否か?」を判断したいと思います。
国内トップスプリンターを完封(2005年/サイレントウィットネス)
最初にスプリンターズステークスを制した香港馬はサイレントウィットネス。レベルが高い香港短距離界において、今でも語り継がれる名馬です。その理由は、デビューからG1 8勝を含む無傷の17連勝という圧倒的な実績。特に8連勝目にあたる初G1香港スプリントでは、前年の覇者であるオールスリルズトゥーや香港短距離三冠馬グランドデライト、南アフリカ史上最速と言われていたナショナルカレンシーといった実力馬を降したことが評価されました。 香港馬特有の雄大な馬格が持ち味であり、馬体重は2005年のスプリンターズステークス時点で558kgを記録していました。圧倒的な筋肉量から繰り出すスピードと、強靭な足腰が織りなす粘り強さが武器。 スプリンターズステークスでは前半3ハロン32.9秒のハイペースを3番手で追走すると、直線でも勢いは衰えず押し切り。2着には前年の勝ち馬デュランダル、3着には同年の高松宮記念勝ち馬アドマイヤマックスが追い込んでいたように、完全な差し決着でした。この流れを押し切れるのが一流のスプリンターたる所以でしょう。
ハイペースで影をも踏ませぬ逃げ切り(2006年/テイクオーバーターゲット)
翌年も日本の短距離界に黒船は襲来。前年の覇者サイレントウィットネスと共に海を渡ってきたのがオーストラリアのテイクオーバーターゲットでした。 2012年にオーストラリア競馬名誉の殿堂に選定された名馬。デビューから7連勝でG1を制すると、その後6連敗を挟んだものの2005年末に覚醒。グローバルスプリントチャレンジを目指してイギリスのG2キングズスタンドステークスを制覇。そして迎えたのが日本のスプリンターズステークスでした。 前年の覇者サイレントウィットネスや芝、ダート問わず優れたスピード性能を見せていたメイショウボーラーが参戦したことで前半3ハロンは32.8秒のハイペース。これらを引き連れる形で逃げたテイクオーバーターゲットは厳しい流れをものともせず、2馬身半差の完勝で逃げ切りました。これにより、最終レースの香港スプリントを待たずにグローバルスプリントチャレンジの総合優勝を確定させ、世界一のスプリンターの称号を獲得しました。 香港と同じく、オーストラリアも短距離~マイル路線の育成が盛んな国。テイクオーバーターゲットも馬体重はスプリンターズステークス時で518kgと非常に大きく、圧倒的なスピード持続力を武器に逃げ切りました。