それでも尹錫悦大統領を熱烈支持する「太極旗部隊」の実態 澤田克己
国会での弾劾訴追案採決に合わせ、ソウル都心の光化門地区で12月7日に開かれた前述の集会についての記事は「光化門の愛国運動勢力が保守・右派国民の支持層とともに、尹錫悦大統領の弾劾を食い止めた」で始まる。与党のボイコットで投票が成立しなかったことを受けて野党が繰り返し弾劾訴追案を提出する構えを見せると、「何回も弾劾を否決すれば民主党をはじめとする野党を窮地に追い込むこともできる」という展望を示した。 いずれも韓国の保守派の中でも主流とは言えない論調だが、太極旗部隊と呼ばれる人々には響くのかもしれない。日本で真に受ける人がいる「韓国の進歩派の背後には北朝鮮がいる」という主張も、このグループの定番である。こうした論調に共感する人々が尹氏の岩盤支持層として一定の影響力を保つのであれば、今後の政局の展望はさらに難しくなりそうだ。 澤田克己(さわだ・かつみ) 毎日新聞論説委員。1967年埼玉県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。在学中、延世大学(ソウル)で韓国語を学ぶ。1991年毎日新聞社入社。政治部などを経てソウル特派員を計8年半、ジュネーブ特派員を4年務める。著書に『反日韓国という幻想』(毎日新聞出版)、『韓国「反日」の真相』(文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)など多数。