それでも尹錫悦大統領を熱烈支持する「太極旗部隊」の実態 澤田克己
低迷していた韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持率は、12月3日深夜の「非常戒厳」宣言でさらに落ち込んだ。とはいえ、国会で弾劾訴追案が採決された7日には、ソウル都心で開かれた弾劾反対集会に1万8000人(警察推計)が集まった。世論調査を見ても、一定の支持は残っているようだ。尹氏を熱烈に支持する勢力の代弁者を自認する新興メディアを通じ、彼らの考えを見てみたい。 ◇朴槿恵政権よりは支持されている まずは世論調査を確認しておこう。12月6日発表の韓国ギャラップ社調査では支持率16%(前週比3ポイント減)だった。調査は3~5日に行われており、戒厳令後の4、5両日に限ると13%だという。別の調査会社リアルメーターによる9日の発表では支持率17.3%(前週比7.7ポイント減)だった。こちらは5、6両日の調査なので、戒厳令の影響が織り込まれている。 そもそもの水準が低いのだが、それでも大きな落ち込み方だ。ただ2016年12月上旬に当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾訴追された時と比べると、別の見方も可能になる。ギャラップ調査では、10月初めに29%あった支持率が11月初めに5%にまで落ち込み、12月初めには4%だった。リアルメーター調査も同様で、10月初めの33.7%が11月初めに11.5%、同月末に9.8%となった。 両氏に対する支持率の差が何に起因するのかを現時点で明言するのは難しい。尹氏に対する支持がこれからさらに離れていく可能性も否定できない。ただ45年ぶりの戒厳令という衝撃の中にある現時点でこうだ、というのは記録しておいていいように思う。 ◇「自由日報」が思いを代弁 尹氏を支持する前述の集会は「太極旗集会」、集まる人々は「太極旗部隊」とも呼ばれる。韓国の国旗である太極旗を掲げることから付けられた名前で、多くの場合は同盟国・米国の国旗もペアで登場する。安全保障の要である米韓同盟を重視し、北朝鮮に厳しい姿勢で臨むスタンスのアピールだ。高齢者の多さが特徴の一つとなっている。