がん再発後に42歳で「卵子凍結」で出産。母乳は薬で止め、完全ミルクでの育児を選択
がん治療と妊娠について医師が詳しく解説
ローズレディースクリニック院長・石塚文平先生に答えていただきました。
●宮子さんは42歳と一般的な更年期年齢ではありませんが、排卵はなかったそう。がん治療により早めに閉経になることはある?
「抗がん治療における抗がん剤や放射線療法は、がん細胞の増殖を抑制する一方で、卵巣や卵子などの卵巣組織にダメージを与えます。治療後によって生理が停止して排卵が起こらず、妊孕性が低下して妊娠が難しくなる可能性があります」(石塚先生、以下全て)
●宮子さんはどのような妊孕性温存療法を行ったのでしょうか?
通常、妊孕性を温存する為には、卵巣機能が正常に保たれている間に卵巣を刺激し、採卵で採れた卵子を凍結保存します。 がん治療を開始すると卵巣機能が低下することがある為、がん治療を開始する前に行います。ただし、がん治療後の卵巣への影響は個人差があり、治療後でも卵子を凍結することが可能な場合もあります。 宮子さんは、初回のがん治療後に卵巣機能が著しく低下しましたが、その後2年程ローズクリニックの方法を用いて、時間をかけて少しずつ合計7個の卵子を凍結保存することができました。その後、再発され再度がん治療を受けた後、卵子は育たない状態でした。 2度のがん治療を懸命に乗り越えられた後に、凍結していた卵子を用いて妊娠が叶いました。
●がんと診断された若年女性が妊孕性温存を望んだ場合に、事前に知っておくとよいことはありますか?
主治医と相談した上で、「東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業」の指定医療機関を受診することがお勧めします。主治医に相談しにくい場合は、がん相談支援センターを利用することも可能です。
星子