がん再発後に42歳で「卵子凍結」で出産。母乳は薬で止め、完全ミルクでの育児を選択
妊活と並行してのがん治療は「任せる」ことに徹する
妊活中は、がん治療を行った順天堂大学病院の血液内科と、ローズレディースクリニックで情報を共有し、双方の医師の話をよく聞き「プロに任せる」ことに徹したそう。 「高齢出産で既往歴があるということを意識し、自分の全身の状態を極力整えながら、信頼できる医師の言葉に従い、スピーディーに意思決定をすることを心がけていました」(宮子さん) そして、42歳・2度の抗がん剤治療後と、非常に難しい状況でしたが、なんと1回の顕微授精で妊娠し、43歳でプレママ生活に突入します。出産に対しても万全なサポート体制を整えることを意識し、夫と離れて地元に帰省することを決めます。 「1度目のがん治療で順天堂病院から地元に転院した際に治療を受けた『石巻赤十字病院』で出産することにしました。がん既往歴についても熟知しており、NICUなど設備も整った総合病院ということがいちばんの決め手です。実家も近く『もしものとき』にサポートを受けられる環境を優先しました」(宮子さん) 妊娠中は免疫を落とさないように、ストレスを減らすことを意識して実家でゆっくり過ごしていた宮子さん。2023年の4月に、元気いっぱいの男の子が誕生し、夫婦や親族で協力しあいながら穏やかに子育てを楽しんでいます。 前回の記事はこちら
抗がん剤治療で産後は口内炎、膀胱炎に
産後に苦労したこととしては、口内炎、膀胱炎になりやすかったことだそう。 「抗がん剤など化学療法には腎毒性が強いものもあり、妊娠によって腎機能が悪化することも知られていますが、私の場合も、再発したときに使った抗がん剤で腎機能(クレアチニン)が高くなり、さらに妊娠中は抗体と免疫の数値が下がったため、度々膀胱炎や口内炎を発症しており、細心の注意が必要でした。抗体を上げる点滴を打つために、産後すぐに母乳は薬で止めてもらい、完全ミルクでの育児を選択しました」(宮子さん) 現在でも、定期的に血液内科に通い検査を受け続けているという宮子さん。 「完全ミルク育児は『だれでも授乳ができる』という利点もあり、実家の両親や夫の協力を得て、体を休めることができます。遠慮しそうになることはありますが、心から感謝をしつつ協力をしてもらうことで、結果的に健康状態もよくなり、長い目で見て家族の幸せにつながると思っています」(宮子さん)