米メディア西武・牧田に「獲得球団が出ない可能性も十分ある」と厳しい見解
ポスティングシステムを利用したメジャー移籍を表明している西武のサブマリン、牧田和久(33)についてCBSスポーツが特集記事を掲載した。 「日本からメジャーへ移籍しようとしている投手は大谷だけではない」との見出しで「牧田和久も今冬にポスティングされる」と伝えたが、同メディアの見解は厳しいものだった。 新ポスティングシステムは、来シーズンオフ以降に施行されることから、大リーグ球団が交渉権獲得のために必要となるポスティングの譲渡金を「ファイターズが大谷の放出に最高額となる2000万ドル(約22億円)に設定するのは疑いない。だが、ライオンズが牧田に設定する金額は明らかでない」とした上で、「牧田は大谷のような若い二刀流の天才ではない。日本での遅咲きのベテラン投手で、ライオンズの1年目は2011年で26歳のときだった。最近、先発から救援投手にコンバートされた」と紹介した。 今シーズンは、62回2/3を投げ、防御率2.30、35奪三振、5四球の成績で、2015年には、不振に陥ったが、2012年から2014年までは先発として成功。2016年から本格的に中継ぎに回ったと説明している。 加えて、「牧田はサブマリン投手だ。これは面白い」と、牧田の独特のピッチングスタイルを取り上げ、今春のワールド・ベースボール・クラシックでの投球動画を読者が見られるように同記事に掲載。 「今のメジャーではサブマリン投手がほとんど存在せず、思い浮かぶのはブラッド・ジグラーやピーター・モイランぐらいだ」と貴重な存在であることも強調した。 またWBCでは、ドジャースタジアムで行われた準決勝で日本と米国が対戦したが、その試合で牧田が登板しなかったため、「米国サイドに牧田に関するデータが少ない」とした上で、「スカウトのレポートによると速球は80マイル半ば(約136キロ)で、滑るスライダーを武器とする。極めて標準的なサブマリン投手といえる」と伝えた。 33歳の牧田には、大谷と違い国際アマチュア選手の25歳ルールが適用されず「あらゆる額の契約が可能」としたが「そうは言ってもメジャーでのサブマリンの救援投手への需要は高くない。もし牧田に良い契約オファーが提示されなければ、来年は日本に残留する方向で進めているようだ」という現状も明らかにした。 また記事では、近年、日本からメジャーに移籍した投手の成功例、失敗例をピックアップ。 「成功した投手には長谷川滋利、岡島秀樹、大塚晶文、斎藤隆、佐々木主浩がいる。また上原浩治と田澤純一は救援投手として成功したが、そもそもは、先発投手としてメジャーに来た」と成功例を紹介。対して「成功できなかった投手も多い」として以下の名前を列挙した。 「藤川球児、福盛和男、柏田貴史、多田野数人(※メジャーに先に入団している逆輸入選手なので多田野を入れているのは間違っているが)、薮田安彦らは日本で収めた大きな成功をメジャーに持ち込めなかった。こちらに来る日本人の救援投手には当たり外れがあるようだ。良い投手もいれば、そうではないこともあった」 記事は、最後に「メジャーにおいて救援投手は永久に必要とされるポジションだ。ライオンズが設定するポスティングの譲渡金の額と、牧田の契約への需要次第とも言えるが、今オフに牧田の獲得に向かう球団が出ない可能性も十分にある。牧田がミスの少ない柔らかい投球をするサブマリン投手であるという事実を加えても、大リーグ球団は、彼にマイナー契約による春季キャンプ招待選手以上の条件を提示しようとしないかもしれない」という厳しい見解を示した。 牧田は、メジャー契約での移籍を最優先にすることを条件としており、マイナー契約となった場合には、西武に残留する方向性を明らかにしている。まだ具体的なオファーもなく、牧田のメジャー移籍は流動的だ。