[MOM4836]埼玉県DF熊田佳斗(大宮U15、中3)_19歳でのロス五輪出場は絶対目標。中学生DFが国スポで高校生相手に躍動、圧巻ヘッドも
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [9.21 国スポ少年男子1回戦 埼玉県 2-0 青森県 北部グラウンドA] 【写真】「スタイル抜群」「目のやり場に困る」“勝利の女神”のアウェー遠征に反響 「国体で、埼玉で中3で入るのが初めてって聞いていて。ただ行っているだけでも意味がないので、決めて、結果残して、優勝して、(来年、)自分の代でも出れるっていうのがあるんで、2連覇できるように」 優勝5度の強豪、埼玉県で初という中学生での国民スポーツ大会(旧国民体育大会)出場。注目の184cmDF熊田佳斗(大宮U15、中3)がセットプレーからのヘッドで先制点を演出し、自ら追加点を決めた。 0-0で迎えた後半22分、熊田はMF神田泰斗(大宮U18)の右FKに反応。「何本か練習の時にも当たっていて、今日0-0の状態で走ってったんですけど、なんか決めれる気しかしなくて。『これ、行けんな』と思って、泰斗のいいボールが上がってきたんで、合わせるだけでした」。迫力十分のヘッドはGK正面を突いたが、こぼれ球をFWエドワード真秀(大宮U18)が押し込み、先制点が生まれた。 熊田はさらに29分、神田の右CKから頭でゴール。「お父さんとかお兄ちゃんに『ヘディングで叩きつけろ』、って言われてたんで、それだけ意識して当てに行きました」。1点目に繋がったヘッドも、自身のゴールも中央から頭で叩きに行っての一撃。青森山田高の1、2年生で構成された青森県のお株を奪うようなセットプレーからのヘッドだった。 目標とするCBのゴールに続く、という思いも表現するゴールだった。熊田は「ボランチからセンターバックになって、やっぱ決めれるセンターバックが憧れというか、格好いいなと思って、決めれるセンターバックになりたいなと思った時に駆け上がっていってロングシュートもあるんですけど、やっぱ1番近いのはヘディングで、コーナーで決めること。市原吏音選手がこの前の試合で決めてたんで、言われるんですよ。コーチとかに『吏音、決めてるぞ』って」。熊田が比較されているのは、大宮アカデミーの先輩で、高校3年生だった昨年から大宮トップチームでスタメンを張るU-19日本代表CB市原吏音だ。その市原が今月14日のJ3北九州戦でヘディング弾。負けじと自分も全国舞台でゴールを決めた。 その熊田はこの日、3バックの一角として守備時の前への強さも発揮。相手のロングボールに対して競る際はほぼ完璧なプレーができたという。また、今月16日に大宮U-18のプレミアリーグEAST・市立船橋高(千葉)戦で先発フル出場している経験もあってか、ビルドアップにも明らかに余裕があった。 埼玉県の上田健爾監督(細田学園高)も「全てのアベレージが高いとは思いますし、やっぱり経験値というところでいうと、もう抜群にある選手、キャリアを持ってる選手なんで、良かったかなと思います」と評価する。ただし、本人は青森戦でカバーリングの遅れがあったことを反省。また、市立船橋戦では相手の攻撃に対してより速く準備することや初速を向上させることの必要性を感じたという。U-15世代を代表するDFはすでにU-16日本代表に名を連ねている。それでも、より上へ行くため、自身の成長に対して貪欲だ。 「もう1個、U-17、U-18(の日本代表を)目指して、次の(2028年ロサンゼルス)オリンピックは19歳なんで、そこは確実に入れるように。高井(幸大、川崎F)選手もパリに19で出たんで、自分も出れるように。ロスを見ながら、目標は大きく、次のワールドカップ。ヤマルとかも全然出てるんで、そこを対象にしていきたい」。昨年の国体少年男子の部でゴールを連発し、茨城県の日本一に貢献したFW德田誉(鹿島)が今月14日の広島戦でJ1初ゴール。この大会での活躍を飛躍に結びつけている。次は自分。野心を抱く中学生CBが今年、埼玉県を日本一へ導き、今後への弾みをつける。