娘の東大進学に反対!「位置情報アプリ」で居場所を確認する過干渉親の心理
2024Forbes JAPAN「世界を救う希望」100人に選出されている江森百花氏と川崎莉音氏は、「地方女子学生を取り巻く、進路選択上のジェンダーギャップ」解消をめざし、東京大学を拠点としたNPO法人#YourChoiceProjectの代表として活躍している。本記事では、地方女子の進路選択に介入する親の不安と現実を、実際のデータを基に考察。子供を守りたいという親心が行き過ぎて、子供を束縛していないか、いま一度振り返ってみよう。※本稿は、江森百花・川崎莉音『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 地方と首都圏の女子の違い 娘は目の届く範囲にいてほしい? 地方と首都圏の女子学生の境遇を物理的に分かつものとなっている地理的要因について掘り下げたいと思います。 「女の子は地元にいた方が安心でしょ」「女の子を東京に出すと戻ってこないから」などの考えから、首都圏の大学に進学することや、実家を離れて1人暮らしをすることを反対されたり、暗に地元の大学に進学するよう方向づけられたりする女子学生は少なくありません。 このような「地元志向」が地方女子学生の傾向として実在するのか、そしてそれが地方女子学生にどんな影響を与えているのか、地方特有の課題について考えていきたいと思います。 「可愛い子には旅をさせよ」とはいいますが、実際旅をさせる親はどれほどいるでしょうか。親としては、娘の生活に目が行き届かないのは不安だ、娘の身に危険が及ぶ可能性は少しでもなくしたいと考える方も多いかもしれません。 そういった、子どもを思うゆえの保護欲――時に過保護という言葉で評されたりもする――は、息子以上に、娘に対して強く働くケースが多いように思います。 先行研究によると、父―娘の関係では、受容的統制型(過保護型)」「受容的自律型(甘やかし型)」が父―息子の関係に比べて多いそうです。この保護欲の表れとして、保護者が女子学生に対して、男子学生よりも強く「地元に近い大学に行ってほしい」と考えていても不思議ではありません。