〈食べログ3.5以下のうまい店〉ペアリングがフリーフロー! 鋭い舌感覚を持つシェフの絶品イタリアン
近江牛のモモのグリル
コースのメインは必ず肉料理が提供されます。料理人の技術と調理環境を考えて肉を手当てすることで知られる滋賀県の精肉店「サカエヤ」の肉は本当に宝のようだと西山さんは話します。盛り付けると後から肉汁がじわじわとあふれてくるのはうまみと脂をしっかり閉じ込めて焼いているから。
はじめに炎の中で焼いた後は、中火で焦がさないように焼いては休ませるを繰り返して肉汁を中に閉じ込めます。それから肉に油をまんべんなく塗って焼くと立ち上がる煙をまとい、まるで燻したかのように仕上がるのです。「以前は超強火で焦がす焼き方でしたが今はカリッとさせる程度の焦がし具合です。肉は常に動かし続けてグリルパンの焼き目をつけず、均等に火が入るように焼いています」と。
ナイフを入れると肉がしなるほどやわらかく、表面はカリッと香ばしくほのかに薫香が漂います。炭でも薪でもなくグリルパンでこの香りをつけられるのはすごい!
噛みしめるとじんわりと脂が広がりますが、くどさは微塵もなく肉のうまみを堪能できます。合わせた「I Selvatici Chianti Colli Aretini Riserva 2018」の重すぎない熟成感はワインと料理の相乗効果がどれほどのものかを教えてくれます。
高橋さん「見た目は焦げているかと思いきや、焦げの膜がうっすらと覆っている程度でスッと切れることに驚きます。これがA5のモモ肉とは思えないほど脂がすっきりとしていて、まるでフィレのような味わい。近江牛ってなんておいしいんだろうと再認識しました。」
隙のない完璧なマリアージュが味わえる!
サービスマンで働いているうちにワインのおいしさに目覚めた西山さんは、イタリアのトスカーナワインに精通、特にブルネッロに造詣が深く、2008年にイタリアのモンタルチーノ市から「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」の普及、啓蒙活動に尽力した人に贈られる「Leccio d’Oro」を受賞しています。これはアジア初の快挙だそう。