無資格検査問題でIHIの満岡社長が会見(全文1)約4万件中、検査不正は211件
検査不正の一例・マニュアルを守らず検査するとともに検査日付も修正
2つ目の事象でございます。これはマニュアルに規定された工程の順序どおりの作業を行わず、かつ、マニュアルどおりの順序で実施したように日付を修正した事象です。こちらは過去2年分で、これまでに合わせて3つの例が確認されています。前方をご覧ください。上方の真ん中にある図ですが、これはエンジンの圧縮機と呼ばれるものであります。私ども、これをローターと呼んでます。このローターをまず組み立てます。いろんな部品からこのローターを組み上げます。 このローターを組み終わったあとに回転のアンバランス調整というものを、これを回転させながら調整をしてまいります。ちょうど皆さまが、タイヤを交換するときのバランス調整と同じ作業だというふうに思っていただければと存じます。これはちょうどローターの中心部分と重心部分をきちっと合わせるという調整でございます。その調整結果を、組立検査員による検査が行われます。 ここの工程では、そのあとオイルシールと呼ばれるもう1つの部品を付けて、その組み付け部分をきちっと組み付けられたかというのを組立検査員による検査を行う。それでこれが全体の外観検査を行って、このローターの組み立てが完了するという手順ですけれども、今回はこのオイルシールの組み立てを先に行って、回転アンバランス調整を行った。この順番を入れ替えたというものであります。これは当然、オイルシールも一緒にこのローターと回転するわけです。 従ってエンジンに組み込まれる状態をより正確に再現する、エンジンに付けられる状態に近づくわけですけども、従ってその状態でアンバランスを取るべきだろうという判断の下にこれを入れ替えたものであります。これは整備工程の改善につながるものとして行ったものでしたけれども、本来であれば事前にエンジン製造メーカーにこの工程変更を申請して、許可を得たあとに実施すべきものでありました。 また組み立て工程、検査の実施記録の日付に関しまして、当社として変更した作業順序ではなく、マニュアルの順序に従って作業したような日付に修正しており、結果として実際の作業実施日と異なる日付が記録されていたという事象であります。この事象につきましては、当社が採用した工程順であっても技術的に妥当であることをエンジン製造メーカーに確認いたしました。 このバランス後も同じように十分な経験を有する組み立ての作業員が部品の状態を確認した上で正しく組み込み、先ほど申しましたようにバランスが終わったあとにも最終検査というのがしっかりと検査員、資格を持った検査員によってなされております。そして出荷前のエンジン運転試験でも機能・性能には問題がないことが確認されています。 先ほどの例でいいますと、あの作業が不適切であるとエンジン振動が起こるわけですけども、エンジン振動は低いレベルであるということが確認されています。また、エアライン各社におかれましては就航後もエンジンの状態は常時モニターされており、異常は報告されておりません。