無資格検査問題でIHIの満岡社長が会見(全文1)約4万件中、検査不正は211件
識名常務による経緯説明
識名:航空・宇宙分野を担当しております識名でございます。今回の事象の詳細をご説明させていただきます。当社が通常、整備する民間航空機エンジンは年間100台から150台でございますが、まずは今回の調査に関しましては、過去2年分の国土交通省認定のエンジンを対象とし、合計約4万件の検査記録を調査したところ、合わせて211件の不適切な事象が確認されました。 これまでの調査では、今回、判明した不適切な事象がこれら全てのエンジンの基本的な機能および性能に影響を及ぼすものではないことは確認しております。また、この点については当社から国土交通省や米国連邦航空局、以下、FAAと称させていただきますけども、FAAならびに各国の航空局に報告しております。さらにエンジン製造メーカーであるGE社およびIAE社にも報告を行い、双方から飛行安全には問題ないとの見解を受領していますが、今後、念のためお客さまと調整の上、点検を進めてまいります。なお、今回の事象が判明したことを受けて、当社は2月12日以降、民間航空機エンジン整備に関わる検査作業について自主的に停止しております。 まず今回の経緯ですが、本年1月10日から2月25日までの間、国土交通省東京航空局による3回の当社瑞穂工場への立ち入り検査がございました。立ち入り検査に伴って、2017年1月から2019年1月末までの2年間に、国土交通省の認定に基づいて当社が整備したエンジンから調査に着手いたしました。具体的には、当社で保管する約4万件の検査記録を調査したほか、検査を担当する全ての従業員154名に対し、直接のヒアリングを実施してまいりました。 ここから、今回発生した不適切な事象の具体例を説明させていただきます。まず、説明の前提といたしまして、当社の民間航空機エンジンの整備と検査のプロセスからご説明いたします。前方の図をご覧ください。左側から、まず私ども、お客さまからエンジンを私どもの工場に受け入れます。そしてそのエンジンを分解します。分解された部品ごとの検査を行います。それから必要な部品に対する修理を行います。そしてその修理の結果に対する検査、修理検査を行います。このようにしたのちに部品をエンジンに組み立ててまいります。エンジンを組み立てる途中にも組立検査というのを入れてエンジンを組み立ててまいります。 そのあとに、私どものエンジン運転試験場にエンジンを搬入してエンジン運転試験を行って、ここで機能・性能上、問題がないかということを確認したあとにエンジンを出荷して、お客さまの運用に入るということであります。お客さまは運用中、エンジンの状態を常にモニタリングをされてると、こういう流れでございます。