無資格検査問題でIHIの満岡社長が会見(全文1)約4万件中、検査不正は211件
検査不正の一例・無資格従業員による部品検査
次に、具体的にどういう不適切な事象が行われたかというところで、まず1つ目の例を。1つ目が、指定された検査資格を持たない従業員がエンジン部品の検査を行って、かつ、有資格者の検査員の印鑑を押印していたという事象などがございます。こちらは過去2年間分で合わせて208件が確認されております。これはお客さまからFAA認定検査員による検査を要求されていた部品検査において、FAA検査資格を持たない従業員が検査し、FAA認定検査員の印鑑を借りて検査記録に押印したという行為です。 これは1例ですが、これはエンジンの前方にあります大きな回転する羽根ですが、これは私ども、ファンブレードと称しております。これの検査というのは、例えばエンジンの前方の部分が摩耗したりしますので、それをきれいに研ぐ研磨修理というのを行ったり、それから根本の部分に、ここに液体の潤滑剤、これは塗ったあとに固まって潤滑の膜を形成するわけですけども、それの塗布を行う。それから、一番底にゴムのパッドが付いてるわけですけども、これを交換すると、こういう修理を行います。 下の図から、左からそういう検査をやりながら、各、先端の研磨をやったり潤滑膜の再塗布をやったり、支持パッドを貼り替える、そのおのおのの工程できちっと資格を持った人間が検査をしてまいるわけですけども、それが終わったあとに全体的に傷がないかという外観検査を行うわけですけど、ここの部分で、本当はここもFAA認定検査員がやらなきゃいけなかったものを、FAA認定資格を持たない従業員が行い、FAA認定検査員の印鑑を借用して検査成績書に押印をしたというものです。これは1例ですが、これに類似するものが208件あったということであります。 この事象については検査を省略したり、検査結果そのものを修正する、つまり不合格品を合格にするなどという行為が行われているものではありませんでした。実際に検査を行った作業員の力量を調査して、こういったもの全ての検査対象部品、検査内容、検査記録を確認しております。部品の検査後も、そのあと十分な経験を有する組み立ての作業員が部品の状態を確認した上で正しく組み込み、出庫前エンジンの運転でも機能・性能的に問題がないことが確認されています。また、エアライン各社さまにおかれましては、就航後もエンジンの状態は常時モニターされており、異常は報告されておりません。 さらに、先ほど申しましたように、検査された部品、検査内容、実際に検査行為を行った従業員の技能レベルに関する情報を、エンジン製造メーカーであるGE社ならびにIAE社に連絡し、事象全てにおいて飛行安全上の問題はないとの見解を得ております。