閉経前の「だらだら出血」は意外に多い悩み。病気かも…と不安になるより婦人科を受診【我慢しないで快適に過ごす、閉経への道 ⑥】
閉経に向かっている「前期閉経」の期間の悩みは尽きないもの。周期が短くなる・長くなる、周期が読めないほどバラバラになる、量が少なくなる人もいればドバドバ出血したり、突然の大量出血があったり…。月経にまつわるトラブルがあると、さまざまなストレスも多くなる。今回は、だらだらと長引く月経の解消法を探ろう。 だらだらと出血が続くと、「もしかして病気?」と心配になることだってある。ずっとナプキンを当てていることになり、腟まわりの環境にもよくない。閉経前、長引く月経をどう解消するのか、二人の専門家に伺った。
10~14日間、薬を飲むだけでリセットできます!
「これはね、閉経前には非常に多い症状ですね。閉経前というよりも、思春期と更年期にはあるある症状です」と話すのは、更年期をはじめ、女性の生涯にわたる健康に寄り添ったわかりやすい解説に定評がある産婦人科医の対馬ルリ子さん。 「思春期の女の子にも、1カ月間、出血が止まらないなんていうことがあるんです。これは破綻出血といいます。1回お薬を飲んで月経を止め、その後消退出血を起こすと、すっきりリセットできます。そこで新しい周期が始まるわけですね。 ホルモンの分泌が不安定という意味では思春期と更年期は同じなのです。ホルモンがぐらぐら揺れて不安定になる、飛行機の離陸と着陸みたいなものですね。閉経前の場合は、卵巣の働きが衰えて、規則的な排卵が起こらなくなります。排卵が起こらないと、黄体ホルモンが出ません。エストロゲンだけが出続けます。エストロゲンには子宮内膜を増殖させる作用があるので、内膜は厚くなりすぎて、我慢できなくなって出血します。 これを破綻出血というんですが、時に大量に出血したり、量は少なくても2週間、3週間、それどころか1カ月続くなんてことが起こります。 昔からこれは「中用量ピル」で止めて、リセットしていました。私は今でもよく処方します。10日間くらい飲んでもらうんです。 『えー、ピルを飲むの?』という患者さんもいますけど、10日間だけだからね、と。それで必ず止まりますから。結局『助かりました~』という人が多いですよ。患者さんがみんな答えを出してくれるんです」 閉経前、ホルモンが少なくなって長引いているなら低用量ピルよりは中用量だと対馬先生。 「ピルにはエストロゲンと黄体ホルモン、2種類の女性ホルモンが配合されているんですけれど、中用量ピルと低用量ピルではエストロゲンの量が違います。配合量が多いということは、効果が高いということ。だから中用量ピルは、薬を飲み忘れても低用量ピルよりも短期間で治療できるというメリットがあります。 その半面、ちょっとした副作用を感じる人もいますし、血栓症などのリスクもゼロではありません。でも、10日間だけなのよ。だらだら続く出血をリセットするメリットを考えたら、GOだと思います。 内膜を剥がす目的では、黄体ホルモン剤だけを出すこともあります。まだエストロゲンが分泌しているのにもかかかわらず、黄体ホルモンが出なくて子宮内膜が剥がれない場合です。 内膜が剥がれないと子宮内膜がんのリスクが高まるので、内膜を剥がしてリセットさせること、子宮内をお掃除してあげることが大事なんです」