閉経前の「だらだら出血」は意外に多い悩み。病気かも…と不安になるより婦人科を受診【我慢しないで快適に過ごす、閉経への道 ⑥】
【教えてくれたのは】 対馬ルリ子さん 1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
病気が隠れていないかどうか、まずは婦人科で検査を
「だらだら続くのは『月経異常』なので、婦人科に行くことが一番」と話すのは、産婦人科医として40年以上、思春期、更年期、老年期の女性に寄り添い、患者さんたちと向き合ってきた松峯寿美さん。 「内診とホルモン検査でだいたいのことがわかるから、対応はいろいろあるんですよ。ドバドバ出血と同じで、薬でコントロールできる時代です。 かかりつけの婦人科がある人はすぐに行こうと思うでしょうけど、ほとんど婦人科に行ったことがない人は放置しがちですよね。それならなおさら、この機会にぜひ行きましょう。 婦人科に行く目安は、出血がだらだらと1週間以上続くこと。もちろん、閉経に向かってホルモンが減っていることが原因かもしれないけど、病気の不正出血の可能性もあるからです。 疑われる病気としては、子宮内や出口にポリープができている可能性。ポリープの多くは良性の腫瘍ですけどね」 そして、40代以降の女性に増え続けている子宮体がん。 「子宮体がんは、子宮内膜の細胞ががん化するもので、以前は『子宮内膜がん』と呼んでいました。 子宮体がんは早期発見と早期治療が何よりも大切なんだけど、初期症状は不正出血しかないんです。だから放っておいたらだめ。 そして、子宮筋腫の可能性。子宮筋腫というのは、女性ホルモンのエストロゲンをエサにするの。 閉経に向かって無排卵になり、黄体ホルモンは出ないけどエストロゲンだけがバンバン出ている…となれば、『筋腫さん、さあ、育ちなさいよ』と言っているようなもの。 更年期に入って、急に筋腫が大きくなることがあるのはそのせいです。うちの外来に来てみたら、メロンみたいに大きくなっていたという人もいます。普通、ミニトマトの大きさの筋腫がメロンになるまでは5年くらいかかるから、気がつかないのよね。太ったのかと思ったって言うけど、ちゃんと検診してないからですよ。 筋腫は若いうちにちゃんと検診して、筋腫のあることがわかったら定期的に検査し続けることが大事。そうしていたら気づかないわけがないの。突然メロンはあり得ないんです。 40代、50代で婦人科に行く習慣のない人は、今日をきっかけに行きましょう。閉経トラブルで悩まず、元気な更年期を過ごす最良の方法ですよ」
【教えてくれたのは】 松峯寿美さん 東峯婦人クリニック名誉院長。日本産婦人科学会専門医。医学博士。妊娠・出産はもちろん、思春期、更年期、老年期の女性に寄り添い、40年以上診療を続けている。著書に『婦人科医が不安と疑問にやさしく答える 更年期の処方箋』(ナツメ社)、『50歳からの婦人科 こころとからだのセルフケア』(高橋書店)など多数。 イラスト/Shutterstock 取材・原文/蓮見則子