ウクライナ軍の「超精鋭部隊」で戦う日本人"BIG BOSS"壮絶戦記!
■戦場を見た以上、無視はできない 止血帯を48時間つけっぱなしだった左脚は神経の4分の3が損傷。大量出血、複雑骨折、体中に刺さった40個以上の砲弾の破片......。医者からは生きているのが奇跡で、左脚は切断することになる可能性が高いと言われた。 「とにかくウクライナ国内では治療ができないということで、すぐにドイツの病院に移送してもらいました。手術前には『術中に死ぬ可能性もある』と言われましたが、無事に成功し、脚の切断も避けられました」 その後、Bさんは驚異的な回復を見せ、3ヵ月後にはドイツで歩行のリハビリを開始。今年4月にウクライナへ戻り、現在も治療とリハビリを続けている。 「本当に良い経験になったと思いますし、自分の能力に対する理解も深まったので、完治したらまた戦線に復帰するつもりです。 あのときの戦闘で4人の仲間が戦死しました。自分の目で戦場を見てしまった以上、このまま無視することもできません。難しいミッションであればあるほど、得るものも大きい。この先も自分の能力を生かすことが最大の貢献だと思っています」 武器支援が滞って戦況が悪化し、一時はウクライナ国内で厭戦ムードに近いものも感じたというが、この夏、ウクライナ軍はロシア領内のクルスク州への〝逆侵攻〟作戦を決行。F-16戦闘機の供与も始まり、雰囲気は大きく変わったとBさんは語る。 「日本でウクライナ関連報道が少なくなっていること、支援に反対意見があることは理解しています。しかし、突然罪なき子供たちがミサイルで殺され、女性は乱暴され、多くの民間人がロシアの侵略の犠牲になっています。もし日本で同じことが起こったら、どう感じるでしょうか? ウクライナ軍はロシア人を殺すためではなく、家族、愛する人、友人、国を守るために戦っています。法律は助けてくれません。何万人もの兵士が命を捧げました。平和な日本から8000㎞離れた国の現実を認知し、支援していただけたら、それがウクライナの人々の命を救うことにつながります」 取材・文・撮影/小峯弘四郎