なぜエリザベス女王杯は3連単339万円強の大荒れ決着となったのか…アカイイトが大波乱を演じ人気馬が共倒れした理由
7着に終わったが秋初戦の府中牝馬Sを使って状態は急上昇だった。中竹和也調教師は「一度使って体にメリハリが出て馬が逞しくなっていた」と良化を感じ取っていた。実際、幸騎手が騎乗した最終追い切りでは坂路4ハロン51秒6の自己ベストをマーク。「力強さを感じた」と好感触をつかむと、枠順も願い通りの外枠を引き、流れが向いていた。 運命の赤い糸でも、勝利は結ばれていたようだ。幸騎手の勝負服は熊本産として人気のあったあのヨカヨカと同じ。そう。今回、幸騎手が馬主の岡浩二氏が所有していたヨカヨカで北九州記念を制覇したことが縁で初コンビが実現したのだ。そのヨカヨカはG1スプリンターズSを前に不運な故障で引退。それだけに岡オーナーは「言葉にできません。感無量です。スプリンターズSに出られなかったヨカヨカの分まで走ってくれたかな、という思いです。ちょうど幸騎手が空いていて馬名じゃないけど”赤い糸”で結ばれていたと思う。競馬は筋書きのないドラマだけど、筋書きがあるのかな」と喜んだ。 幸騎手は45歳となった今年、現在73勝とキャリアハイといっていいほどの活躍を見せている。自身は2003年のエリザベス女王杯でタイム差なしの2着に敗れたスティルインラブの悔しさを晴らした格好だ。 厩舎の信頼度ナンバーワンと言われる人格者。 「全レースをビデオで見て、もう少し早めに動いてもいいのかと感じましたし、ノリさん(横山典)にも聞きました。でも、勝ったのは馬に力があったからです。力がないと勝てない勝ち方。それとヨカヨカの勝利があって今回につながった。“赤い糸”で結ばれていたのかもしれませんね」と微笑んだ。 対する人気馬は1、2、3番人気が揃って“討ち死に”となった。単勝オッズではアカイトリノムスメと人気を争い、最終的に2.9倍の1番人気に支持されたのはG1大阪杯を制覇しているレイパパレ。鞍上のクリストフ・ルメール騎手は昨年のラッキーライラックに続く連覇がかかっていた。