「せっかくのマイホームが…」家づくりに失敗する人に共通する“原因”とは? 一級建築士が語る「固定観念」の危険性
家がイケてないのは、あなたのセンスのせいじゃない
ここまで、今の日本の家づくりの実情をお話ししてきました。限られた時間と予算のなかで効率的かつ合理的に家を手に入れられるハウスメーカーの仕組みはありがたいもので、その恩恵を享受してきた人たちはたくさんいます。営業担当者や建築士との意思疎通がうまくいき、建て主の願い通りに理想の家が完成したケースも、もちろんあるでしょう。 しかし、ここまでお伝えしてきたような事情から、「こんなはずじゃなかった」、あるいは「なんとなくイケてないけど、どうせ自分にはセンスないから、こんなもんよね」と、妥協した家になりやすい側面があることも事実です。本来、家の間取りというものは、みなさんが思っていらっしゃる以上に自由なものです。建て主の思いや感覚を建築士としっかり共有することで、心から納得できるオーダーメイドの住まいをつくることができるのです。 もし、みなさんが「すでにある箱の中に入る」という感覚で家づくりをされるとしたら、非常にもったいない話です。一度建てた家には長く住み続けるかたがほとんどですし、生活の場としての住宅は、私たちが想像する以上に精神面にも影響を及ぼします。 「家は3度建てないと思い通りにはならない」などとよく言いますが、そんなに時間とお金と労力に余裕のある人は滅多にいらっしゃるものではありません。せっかく建てるのなら、一度で理想の家を建てたいものです。
【Profile】内山 里江(うちやま りえ)
一級建築士 株式会社コモドデザイン代表 1972年、高知県に生まれ、12歳まで愛媛県で過ごす。子供の頃、建築家・宮脇檀氏の設計で建てた父の友人の家に感動し、いつか自分も建築家になることを夢見る。山口県の工務店に勤務して実地で経験を積み、一級建築士になる。建築設計歴27年、のべ2000棟以上を設計・デザイン。「家を単なる休む場所ではなく、遊べる場所に」をモットーに、付加価値を高める設計を提案し続けている。
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