なぜヤクルト“ドラ1”奥川恭伸はデビュー戦でプロの洗礼を受けたのか…「昨夏甲子園の方が良かった」との厳しい指摘も
ヤクルトのドラフト1位のルーキー、奥川恭伸(19)が10日、神宮球場で行われた広島戦にプロ初登板、3回途中で9安打5失点して57球で降板するプロの洗礼を浴びた。ストレートの最速は148キロだったが、3回には140キロ前半に落ち、松山竜平(35)の2ランを含む4連打を浴びてアウトをひとつも取れず降板。ドラフトで巨人、阪神、ヤクルトの3球団が競合したポテンシャルの凄さを見せることをできないままホロ苦いプロデビュー戦になった。元ヤクルトの名スカウト、片岡宏雄氏は、厳しい目線で“奥川育成計画”を緊急提言した。
カーブ4番の松山に手痛い2ラン
広島は1番の打順に球団史上初となる5年連続の3割がかかっている鈴木誠也を置いてきた。「3打数3安打以上で3割到達」という難しい条件だったが、プロデビュー戦となる奥川にとっては、いきなりの関門である。 初球はアウトコースへ146キロのストレート。ボールになった。ここから全球ストレート勝負。だが、2-1のバッティングカウントからアウトコース低めの148キロのストレートを逆方向に弾き返され、いきなり二塁打の洗礼を浴びた。一死を取ってから続く長野久義をフォークで打ち取ったように見えた。だが、引っかけたボテボテの打球が、三塁の内野安打となる不運が重なり、一死一、三塁とされてしまう。4番の松山への148キロのストレートが嶋基宏が構えたミットより少し中に入ると見逃してはくれなかった。芯でとらえられた打球は左中間を深々と抜けていく。2点タイムリー二塁打である。 奥川はセットポジションからクイックで投げておりスピードガン表示ほどボールに威力はなかった。二死から堂林翔太をフォークで空振りの三振。続く高橋大樹をスライダーで見逃しの三振に打ち取ったが、高橋1人に10球粘られるなど、勝負球としては、どの球種も弱かった。 球数が40球を超える3回になると、ストレートの球速が、突然、142、3キロ台にガクンと落ちた、長野に三遊間を破られ、続く松山には、インサイドに投じた142キロのストレートを楽々とライトスタンドにまで運ばれてしまう。このボールも嶋が構えたミットの位置よりボールひとつ中へ入った。さらに坂倉将吾 堂林に連打を浴び、この回、ひとつもアウトを取れないまま球数が57球に達したところで高津臣吾監督が交代を告げた。